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【女子ワールドカップ】なでしこ、ノルウェイを倒し8強入り!

2023年8月9日 |

FIFA 女子ワールドカップ
オーストラリア&ニュージーランド大会 2023 ラウンド16
日本(11位) 3-1 ノルウェー(12位) @ ウェリントン・リージョナル・スタジアム,ウェリントン
2023/08/05 20:00キックオフ(日本時間8/5 17:00) NHK
日本:オウンゴール 15,清水梨紗 50,宮澤ひなた 81(藤野あおば)
ノルウェー:レイテン 20(リサ)

ノルウェーは日本のカウンターを警戒していた。日本がボールを持つと前線にハウグを残した9人がリトリートして低い守備ブロックを形成してスペースを潰し、最終ラインの裏へ抜けてくる日本の攻撃パターンを封じた。その上でロングカウンターからゴールを奪う日本が、スペイン戦で実行したゲームプランを日本にぶつけてきた。

ラインを上げず守備を固めてきたノルウェーに対し、日本は左サイドの遠藤と右サイドの清水が上がることでノルウェーの最終ラインを広げ、中盤の選手が下りてきて5バックになると田中美南が下がって空いたスペースを使い、宮澤と藤野が田中美南を追い越して裏へ飛び込んでいく。ノルウェーは日本の攻撃に合わせてポジションをスライドし、田中美南に密着して自由にポストプレーをさせず、スペースを埋めて宮澤のプレーエリアをなくした。しかし、ありとあらゆるところを守ることはできない。15分、左サイドの宮澤が藤野をターゲットに上げた何でもないクロスをエンゲンがクリアミス、オウンゴールとなって日本に先制ゴールを許してしまった。

ゴールが必要となったノルウェーは5分後、キャロライン・ハンセンが右サイドのリサへ出してのクロスを、レイテンがふたりと競りながら高い打点でGK山下を破って同点ゴールを奪った。ここでワイドにボールを振って高さを前面に押し出す勇気があれば試合の流れは変わっていたかもしれない。たたみかけられなかったのは、スペイン戦の強烈なロングカウンターが脳裏に焼き付いていたからだったか。

前半を1-1で終えた日本は後半に入りギアを上げた。長谷川が高いポジションをとって攻撃参加するとノルウェーは大混乱に陥った。50分、左サイドの遠藤が中央の宮澤へパス。ボックス内へ飛び込んだ長谷川へのくさびのパスは長谷川のターンを許さずボールを取り戻したものの、リサの不用意なバックパスを右サイドから上がっていた清水がインターセプト、強烈なシュートを突き刺されてしまう。ノルウェーは重心を前に上げて同点を狙うが、なでしこはノルウェーにプレッシャーをかけて自由にパスを出させず。右サイドからキャロライン・ハンセンがドリブルで仕掛けて77分にはセービックが、78分にはマーナムが決定的なシュートを放つが決めきれなかった。

そして81分、決定的なゴールを日本が決める。ノルウェーのロングボールを収めた清水が前方の藤野へパス、ターンして持ち上がってのスルーパスに抜け出した宮澤が落ち着いて左足で決めて3-1。ノルウェーがもっとも恐れていたシーンが最悪の時間帯に起こった。

攻めるしかなくなったノルウェーはロングボールで最前線ふたりに合わせていくが、なでしこはしっかり跳ね返す。91分には右サイドからキャロライン・ハンセンのクロスを折り返してセービックがどんぴしゃりのヘッドを合わせるが、GK山下がビッグセーブでストップ。ノルウェーの望みを打ち砕いた。タイムアップまで日本は攻め続け、点差以上に圧倒してベスト8進出となった。

準々決勝は8月11日、PK戦の末、アメリカを破ったスウェーデンと激突する。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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