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【J1昇格プレーオフ決勝】土壇場のドラマで東京ヴェルディがJ1へ昇格!

2023年12月8日 |

J2リーグ3位〜6位のクラブで行われるJ1昇格プレーオフ。4位清水エスパルスvs5位モンテディオ山形の戦いは0−0の引き分けで順位上位の清水が勝ち残り。3位東京ヴェルディvs6位ジェフユナイテッド千葉の戦いは2−1で東京Vが勝利。J1昇格へ残り1枠をかけた戦いは、ともにJリーグ発足当初から在籍するオリジナル10(テン)と呼ばれるクラブ同士の戦いとなった。

J1昇格プレーオフ決勝
東京ヴェルディ 1-1 清水エスパルス @国立競技場(東京)
2023/12/2 14:05 キックオフ NHK BS
東京V:染野唯月 90+6
清水:チアゴ サンタナ 63

2008年以来の16年振りJ1昇格を目指す東京Vは、スタメン11人ともに準決勝の千葉戦と同じメンバー。GKマテウス ヴィドット、最終ラインにDF深澤大輝、DF谷口栄斗、DF林尚輝、DF宮原和也の4枚。ボランチはMF稲見哲行、MF森田晃樹、左サイドにMF齋藤功佑、右サイドにMF中原輝。前線にFW山田剛綺、FW染野唯月という4−4−2のフォーメーション。

2022年以来1シーズンでのJ1返り咲きを狙う清水は、準決勝の山形戦からDF岸本武流をMFカルリーニョス ジュニオに代えた以外の10人が同じとなるスタメン。GK大久保択生、最終ラインがDF山原怜音、DF高橋祐治、DF鈴木義宜、DF原輝綺の4枚。ボランチはMFホナウド、MF白崎凌兵。左サイドMFカルリーニョス ジュニオ、トップ下FW乾貴士、右サイドMF中山克広、ワントップにFWチアゴ サンタナを配した4−2−3−1のフォーメーションを組んだ。

奇しくもオリジナル10同士がJ1復帰をかけて戦うことになったこの試合。東京Vは今シーズンの非得点数がリーグ最少という守りで勝ち上がったクラブ。対する清水は今シーズンの得点数がリーグ2位という攻撃力で勝ち上がったクラブ。それを象徴するかのように試合は序盤から清水が押し進める。

前半3分には清水が東京Vサイド中央でFKを得てDF山原がクロスをあげるもゴール前の競合いでCKに。CKもキッカーをDF山原が勤めてクロスを供給。これにサンタナが反応するも東京VのGKマテウスが処理。さらに6分にも清水のFWチアゴ サンタナが左サイドを攻めてゴール前に絶妙のクロスを入れるが、東京VのDF深澤が走り込んでクリア。続く8分には清水の右CKでDF山原が入れたクロスをMFカルリーニョス ジュニオがヘディングシュートするが、ボールはクロスバーの上へと外れ、清水の攻撃を東京Vが守る形が続く。

防戦一方だった東京Vも15分辺りからボールを支配し始め、17分にはロングパスをペナルティエリア左で受けたMF森田がファーサイドにクロスを入れるが、FW染野がうまく合わせられずボールがゴール右外へ。さらに19分には清水エリア中央で東京VがFKを得るが、MF中原のクロスはMFホナウドにクリアされチャンスをつかめず。

29分には相手エリア中央での清水のFKで、DF山原がペナルティエリア内に入れたボールが混戦状態となり、最後はFW乾がほぼフリーでボールを受け左足でシュートを放つビッグチャンスがあるも、ボールはゴール枠の左上へ外れてしまう。続く30分にもDF原がドリブルからシュートを放つが相手にブロックされ、こぼれ球をDF山原が左奥から中央にクロスを入れFWチアゴ サンタナがヘディングシュートに行くがうまく合わず。39分には東京VのFKでDF谷口がヘディングシュートを打つシーンもあったが、流れとしては終始、清水の攻めを東京Vが守りきる形で前半終了となった。

両チームともメンバー変更なしで入った後半戦。前半とは戦法を代えたか序盤から東京Vが攻める展開が続く。だが3分、裏を取った清水MFカルリーニョス ジュニオが右サイドを上がってゴール前にクロス。これをFWチアゴ サンタナが頭で合わせに行くが、東京VのDFが防いでうまく合わない。すると6分には東京Vが右CKから入れたクロスを清水DFがクリア。だがこのボールがペナルティエリア手前で浮き上がり、最後はDF宮原がロングシュートを撃つが清水GK大久保がセーブ。さらに11分にもMFホナウドとDF宮原の競合いでこぼれたボールをMF齋藤が受け、ドリブルでペナルティエリアに侵入してシュートを放つが、ボールがゴールの左外へ。

両チームの攻防が激しくなった後半戦。後半15分にはMFカルリーニョス ジュニオが外れてDF北爪健吾が入ると、直後に試合が動く。後半16分、東京Vエリアを攻める清水のパス回しからFW乾がペナルティエリア内に浮き玉を入れると、これに清水MF中山と東京VのMF森田が反応して奪い合い。この際に森田の腕にボールが当たったとしてVRA判定した結果、清水がPKを獲得。キッカーはJ2得点王FWチアゴ サンタナ。左足で蹴り込んだボールはゴール右に吸い込まれ、後半18分に清水が待望の先制点。

負けられない東京Vは21分にMF齋藤に代えて攻撃的MF新井悠太を投入。1点を守りたい清水は25分にDF山原に代えてDF吉田豊を、MF中山に代えてDF岸本を投入してゲームを締めにかかる。この辺りから清水は最終ラインを5枚に変更、5−2−3にして守りを固める。

後半戦序盤以降は、シュートが打てていない東京Vは後半29分、FW山田に代えてMF綱島を、DF林に代えてDF平を投入。最終ラインを3枚に減らして前線に参加する人数を増やして攻める。この辺りから東京Vが最終ラインを上げて清水サイドを攻める展開が続くが、5枚と厚くなった清水の最終ラインの裏が抜けない。

攻め切りたい東京Vは後半36分、MF稲見に代えてDF山越康平を、DF深澤に代えてMF長谷川竜也を投入。そして守り一辺倒で後半18分以降からシュートまで持ち込めない清水も後半38分、DF原に代えてMF神谷を、FW乾に代えてFW北川を投入し攻撃に転じる気配を見せてくる。

すると後半40分、交代で入ったFW北川が右サイドを単独突破して右奥からクロスを入れるが、これを東京VのDFがクリア。逆に東京Vも後半44分に清水側ペナルティエリア手前の混戦から東京VのDF宮原がゴール前にクロスを上げると、FW染野がゴールを背にボールを受け、振り向きざまにシュートを放とうとするも清水DFがクリア。東京Vの決定機にも清水が得点を許さず後半45分が終了。

後半戦のアディッショナルタイムは8分。このまま終われば清水が勝利、東京Vが1点取って同点になれば東京Vが勝利となる運命の時間。攻める東京Vは後半46分に左CKを得ると、ゴール前に入ったクロスがペナルティエリア手前にこぼれる、そこに待ち構えていたMF森田が右足でシュート。だがボールは惜しくもゴール左外へ。

時間を進めようとボールを動かす清水から東京VのMF中原がボールを奪い、清水エリアへロングパス。これを清水の最終ライン位置にいたFW染野が受けてゴール目指して走ると、ペナルティエリア内右で清水のDF高橋と交錯。高橋のファウルとなり東京VのPK。キッカーFW染野が16年の重みを込めて蹴ったシュートはゴール右へ。GK大久保も反応したが、ボールはゴールネットに突き刺さり後半51分に東京Vが同点に追いついた。

そのままアディッショナルタイムが10分まで経過したところで長い笛が鳴り、東京Vが16年ぶりのJ1昇格を土壇場での劇的な結果で決めた試合となった。

Profile

小池昌敏

1967年神奈川県生まれ。編集兼ライター歴30年以上のフリーで活躍するベテラン記者。スポーツはサッカーから野球、釣りまで何でも大好きだが、基本的に身体を使うのは苦手で観戦が専門。


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