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【ベガルタ仙台】13年間負けていなかったみちのくダービーだが…

2023年7月5日 |

明治安田生命J2リーグ 第23節
山形 4-1 仙台 @ NDソフトスタジアム山形
2023年7月1日 19:30 Kickoff
山形:藤本5,40(南),54(國分),58(國分)
仙台:ホ・ヨンジュン 47(鎌田)

1999年のJ2開幕から数えて41回目の「みちのくダービー」。仙台が18勝、山形7勝、引き分け15で、仙台は2010年7月13日J1第13節で敗れてから13年間山形に負けていない。今季第15節のゲームでも山形を振り切って勝利している。自動昇格圏内までは勝ち点が少し開いてしまったが、現在8位とプレーオフ圏内6位までは射程距離につけている。相性のいい山形を叩いて順位を上げたいところだ。

仙台はミドルプレス、山形はハイプレスで入った前半5分、山形のプレスを受けてバックパスで逃げた仙台は、GK小畑が不用意に蹴ってプレッシャーをかけた藤本に当ててしまい、リフレクトがそのままネットを揺らして失点する。藤本が飛び込んでくることは予測していたはずだが、トラップして右足で蹴れるところに持ち直した分だけ逃げられなかった。また、味方へパスコースも見えなかったかもしれない。

山形は前節東京V戦でほとんど攻撃の形を作れなかった課題を、しっかり練習して解決してきていた。仙台のプレスにも落ち着いてパスコースを作って繋ぎ、右のイサカ、左の國分に出して何度も決定機につなげた。40分、右サイドのイサカからニアゾーンの藤田、中央の南に出してボックス内へラストパス。藤本が美しいターンでゴールを決めた。

仙台は鎌田が決定的なパスを何度か通してチャンスを作ってはいたが、山形は戻りも早く、スペースを埋めて仙台のパスを引っかけてゴールを許さなかった。

後半に入って、仙台は小出に代えて蜂須賀を投入して右サイドの活性化をはかり、攻撃の強度を上げた。47分、右サイドのCKを獲得すると鎌田のクロスをファーでホ・ヨンジュンがヘッドで決めて1点差。さらに攻勢を強めて同点ゴールを狙うが、山形は左サイドの國分がドリブルで深くえぐってマイナスのクロス。イサカが飛び込んで作ったフリーの空間に走りこんだ藤本が蹴り込んでハットトリック。4分後には左サイドの國分からアーリークロスが出て藤本がヘッドで押し込んで、4点目ポーケルとなって逆に突き放された。

守備組織が強固な仙台だが、今季最多の4失点と守備が崩壊。プレスの連動がうまくいかず、サイドからのクロスで藤本に好きなようにやられてしまった。攻撃陣は失点をすぐに取り返すことができなかったのが最大のポイントで、鎌田に預けるものの鎌田に近いポジションでフォローする選手がおらず、同点、逆転へ繋がるプレーとはならなかった。間違いなく、開幕戦時よりも攻撃が機能しているし、守備も予測が高くなっているけれども、焦りが目立ってしまった。

山形が13年ぶりのみちのくダービー勝利で、プレーオフ圏内まで勝ち点差5の9位。仙台は6位まで勝ち点差6の12位に転落。J1昇格へ厳しい戦いが続いている。一時攻守が噛み合った攻撃的なサッカーとなっていたが、怪我人が多くなって足踏みが続いている状態だ。天皇杯も含めて中3日のゲームが4連戦、しかも真夏の暑さとなる厳しい日程となるが、チームの戦術はプレーする要でもある。しっかり立て直して順位を上げていきたい。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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