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【U-20日本代表】疲労の見えた日本、ノックアウトステージ進出ならず…

2023年5月31日 |

FIFA U-20ワールドカップアルゼンチン2023 グループC 第2節
U-20 日本代表 1-2 U-20 コロンビア代表 @ ラ・プラタ・スタジアム(ラ・プラタ)
2023年5月24日 18:00(日本時間 5月25日 6:00)kickoff  J SPORTS BSフジ182
日本代表:山根陸 30(福井太智)
コロンビア代表:ヤセル・アスプリージャ 53(サラサール),トマス・アンヘル 59

日本は前節セネガル戦から永長鷹虎に代えて山根陸を入れ、佐野航大を右サイドに上げた。ドリブルの仕掛けや展開の予測がうまく、90分走り回れる佐野航大をサイドに置くことで右サイドからチャンスを作り、コロンビアの左サイドからの攻撃を抑え込む狙いが見える。一方のコロンビアはミゲル・モンサルベに代えて同じ左サイドのポジションにダニエル・ルナを入れた。

日本はビルドアップでサイドに開いてのクロスを狙っているが、コロンビアはボールホルダーを囲んでボールを奪うと、素早くワイドに展開するカウンターで日本を押し込んでいく。攻撃をカットされてのカウンターはコロンビアの高い個人技もあり、何度も繰り返されるとボディブローのように消耗する。日本は早めにペースをつかみたいところだが、お互いのコミュニケーション不足か、プレーの意図がかみ合わずパスのずれが目立つ。

それでも前田直紀のポストプレーから北野颯太が抜け出してのシュートでCKを得ると、30分に福井太智と山根陸のデザインされたプレーからゴールをこじ開けて先制する。福井太智はまわりがしっかり見えており、山根陸も落ち着いて枠内へと飛ばした。ほとんどの時間を押し込まれていたが、プラン通りに日本はリードして折り返した。

後半に入り、コロンビアはルナに代えてマニョーマ、ウルタードに代えてアンヘルを投入して前線のてこ入れを図ってきた。日本は左サイドの高橋仁胡を下げて松田隼風を投入する。

立ち上がりこそCKでチャンスを作った日本だが、コロンビアの攻撃にずるずる下がるしかなく、53分には左サイドをコルテス、サラサールと繋いでのクロスにフリーでアスプリージャが飛び込んで同点ゴール、59分には左サイドをプエルタがえぐってシュート。GK木村凌也がセーブしたこぼれをアンヘルが押し込んであっという間に逆転。警戒していた日本の右サイドを切り裂かれて失点してしまった。同点弾はアスプリージャがフリーで飛び込んでおりGK木村凌也はノーチャンスだったが、逆転弾はGK木村凌也がこぼしたボールに飛び込んでいれば防げた可能性はある。オリンピック代表、A代表を目指す上でボールを守るためにはどうすればいいか、考え続けてプレーすることが重要になってくる。

守りに入ったコロンビアに対して日本が攻める時間帯が続くが、日本はプレーの意図がかみ合わないミスが多く、ボックスへの決定的なパスを出せない。83分にはVARの介入から日本にPKが与えられるが、松木玖生のシュートは狙いすぎかクロスバーを叩いた。同点の絶好機を逃した日本はその後の猛攻でもコロンビアゴールを割れず、そのままタイムアップ。グループステージ突破は最終節に委ねられることになった。

FIFA U-20ワールドカップアルゼンチン2023 グループC 第3節
U-20 日本代表 1-2 U-20 イスラエル代表 @ メンドーサ・スタジアム(メンドーサ)
2023年5月27日 18:00(日本時間 5月28日 6:00)kickoff  J SPORTS BSフジ182
日本代表:坂本一彩 45+1(松木玖生)
イスラエル代表:ロイ・ナヴィ 76(マドモン),オメル・シニア 90+2(テルグマン)

ノックアウトステージ進出のためには、勝利が必要な日本とイスラエルとのゲーム。日本は坂本一彩、松村晃助、安部大晴の3人が初スタメン。右サイドに入った松村晃助が動き回り、積極的にボックス内に飛び込んで決定機に絡む。松村晃助の2回のシュート、安部大晴のシュートはGKザラファティのビッグセーブに阻まれたものの日本が押し込む展開となる。優位に進めながらゴールを割れなかった日本だったが、アディショナルタイムに相手のハンドで得たFKから、最後は坂本一彩が頭で押し込んで1-0とリードして折り返した。セネガル、コロンビアと個人技で押し込まれると弱さを見せた日本も、似たような戦いをするイスラエルにはうまく対応して、日本の時間を多く作った。

後半に入って、イスラエルは前がかりとなり、日本を押し込み始める。日本は裏を取って坂本一彩へのパスでチャンスをつかむが、イスラエルの激しい守りでシュートを撃たせてもらえない。徐々に最終ラインが下がりはじめ、ボールを奪ってからの押し上げも足らず、間延びし始める。中2日の3試合目で疲労が目立ってきた。

イスラエルは、61分に投入したビンヤミンが立て続けにイエローカードをもらい、わずか7分で退場、10人となった。1点リードでひとり多い日本は圧倒的に有利な状況だったが、疲労からか運動量が落ちてパスコースが見つけられず、イスラエルのペースのまま時間が経過していく。

76分、イスラエルはゴール正面左で得たFKをテルグマンが直接シュート。壁にぶつけてのリフレクトをマドモンがシュート。ゴール前にいたナヴィが頭でコースを変えて同点。テルグマンのシュートが壁に当たったところで日本は動きが止まり、マドモンへのプレスもかからず、安部大晴はゴール前に残ってオフサイドを取れなかった。さらに、90+2分、右サイドからドリブルで仕掛けたレムキンがシニアを使ってボックス内へドリブル。テルグマンがゴール前に流し、外から回り込んできたシニアが右足で突き刺した。ここでも高井幸大が後ろに残っていてオフサイドを取れず。ひとり少ないイスラエルにいいようにやられてしまった。

後半押し込まれる展開で完全に足が止まっていて、普段できることができなくなっていた。そこが一番の敗因だった。試合後、松木玖生が「少しびびってしまった」と口にしたように、相手に飲まれてしまっては勝てない。

最終順位グループ3位となってわずかにノックアウトステージ進出の希望が残っていたが、翌日、残りのグループステージのゲームが行われて、日本はグループステージでの敗退が決まった。アルゼンチンで3試合しか戦えなかったことは悔しさしかないだろう。通用した部分もあったが、世界で戦うにはまったく足りなかった。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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