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【ベガルタ仙台】震災から12年、ホームで挑んだ復興応援試合の行方は…

2023年3月16日 |

明治安田生命J2リーグ 第4節
仙台 0-1 いわき @ ユアテックスタジアム仙台
2023年3月12日 14:03 Kickoff
いわき:江川 20(嵯峨)

東日本大震災から12年。「復興応援試合」と銘打たれたJ2第4節仙台vs.いわきのみちのくダービー。ユアテックスタジアム仙台には献花台が設置され、多くのファンが献花を行った。仙台は2011年J1リーグ再開初戦、川崎を逆転で破って被災地の多くの人を勇気づけ、J1リーグ4位。いわきは2012年6月に復興のシンボルとしてチームを立ち上げ、わずか7年で6つのカテゴリーを戦いJ2まで駆け上がった。

仙台は前節徳島戦で退場となったキム・テヒョンの代わりに内田、前線のホ・ヨンジュン、氣田、中島を中山、フォギーニョ、郷家と入れ替える4枚替え。いわきは前節山口戦からGK鹿野をGK高木和と、右サイドの石田を加瀬と入れ替える2枚替えでゲームに臨んだ。

前半、仙台のキックオフ直後からいわきがハイプレスを仕掛けてきた。いわきは練習時間の半分を筋トレに費やし、栄養士が管理する食事を原則3食摂るなど選手の肉体強化をメインに置いているクラブで、ラグビー選手のようなフィジカルモンスターが90分走り回ってゴールを目指すスタイル。キック・アンド・ラッシュというより、バスケットボールのラン・アンド・ガンと表現したほうが似合いそうな攻撃的なサッカーをする。仙台はハイプレスを受けてビルドアップもままならず、いわきの猛攻をまともに受けることになった。

圧倒されていた仙台だが、12分に絶好の先制チャンスを迎える。左サイドで相良がボールを奪って内田につないでクロス。飛び出したGK高木和は中山と潰れ、ファーの真瀬が折り返したクロスにフリーで郷家が飛び込んだ。惜しくも枠を外したもののいわきのプレスをかいくぐった素晴らしい連携だった。
いわきは中盤のプレスの強度を高め、トラップした瞬間に2人、3人が詰めてボールを奪って前線へ蹴り上げてペースを取り戻す。20分、左サイドのCKから山下がクロス。右サイドにこぼれたところを嵯峨が入れ直し、ファーで江川が相良に競り勝ってヘッド。GK林の頭上を越えるループシュートとなって先制ゴールを決めた。

仙台はショートパスでのビルドアップを諦め、中山へのロングボールを蹴るがオフサイドでチャンスを作れない。サイドアタックに活路を見出そうとするが、激しいプレスにミスを連発、サイドで孤立という悪循環。前半終了間際、左サイドの内田からのクロスにフリーで郷家が飛び込んだが、またも枠を捕らえきれなかった。

後半、仙台は速いパス回しでいわきのプレス回避に成功する。しかし、いわきの戻りが早く、なかなかチャンスに結びつけられない。64分の仙台カウンターのシーンでは、左サイドの相良とともに中山が駆け上がったが、いわきは4人が戻って中山へのパスコースは完全に潰されていた。一方のいわきは、有田、谷村にボールが収まり、仙台よりも決定機の数は多かった。いわきは最後まで運動量が落ちず、目指しているサッカーでJ2初勝利を挙げた。

次節第5節。仙台はアウェイで群馬戦。過去の対戦成績は仙台が12勝7分1敗と圧倒的に分がいい。決定機を多く作って群馬を圧倒して勝利を掴みたい。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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