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球春到来〜日本全国に最高の週末がやってきた(後編)

2022年4月13日 |

「アフターゲームショーのノノさんが、第6代チェアマンに!」

2022シーズン直前の1月末、往年のJリーグファン・サポーターが驚愕した。ノノさんこと野々村芳和さんが札幌の経営者から、(第5代チェアマン)村井満さんの後任に任命されたのだ。

画像/©️J.LEAGUE
画像/©️J.LEAGUE 

 49歳という若さで第6代チェアマンに就任した野々村氏。多くのファン・サポーターが期待を寄せるのは「ノノさんのサッカー魂」だろう。慶大からジェフ市原(現/J2千葉)でプロ入りし、札幌でもプレーし、選手人生を過ごした蹴球人。2013年からは札幌の社長も務め、経営規模を拡大し、J1定着に貢献した。Jリーグでの選手経験がある初のチェアマンは、メディアに向けて抱負を掲げる。

「フットボールに基軸を置く。良いサッカーを届けたい」

 シンプルなメッセージから「アフターゲームショーを想い出した」そんなJサポもいたかもしれない。もはや伝説のサッカー番組とも言われる「Jリーグ・アフターゲームショー」は、(CS放送)スカチャン(現スカパー!)で、コアな人気を博したサッカーコンテンツだ。完全生放送で進行された番組内では、当日開催された全試合ハイライトに加え、試合直後の監督や選手の声が生中継で繋がれ、全国津々浦々のサッカー談義がテレビ放送された。

 時には、誰もいない真っ暗な試合後のスタジアムで解説者や選手が居残って生出演するなど、ユニークな演出も印象的な「ザ・フットボールTVショー」。番組MC兼解説&分析を務めたノノさんは歯に衣着せずに発言し、時にはサポーターのように驚きながら全試合を独特なペースで進行し、じわじわと人気を集める。最大の特徴は、地上波では決して実現出来ない(⁈)大胆なタイムキープや、全国のスタジアムから撮って出し編集されたハイライト。その番組は、まさにスカパー!のサッカー魂そのもの。週末夜を中心に最小限でスピーディーなコンテンツとして多くの視聴者から愛された「Jリーグ・アフターゲームショー」は、惜しまれつつも4年間の役目を終え、2012年2月放送終了。

このタイミングで、アフターゲームショーのノノさんこと野々村さんはMCや解説者だけでなく、ビジネスや経営といった別の分野でも、Jリーグと共に歩みを進めていたようだ。365日24時間、サッカーという競技にこだわり、ファン・サポーターと共に戦っていく宿命を、すでにこの時から背負っていたのかもしれない。

画像/©️J.LEAGUE
画像/©️J.LEAGUE 

あれから10年の月日が経ち、2022シーズン真っ最中。現在は、Jサポの知る気さくなノノさんではなく、ビジネスマンとしてJリーグの様々な課題に向き合う、Jリーグ第6代チェアマンの野々村氏が存在する。新チェアマンの描く、新たなJリーグにファン・サポーターは、多くの問題解決を期待しているだろう。

 なぜなら、2022シーズンのJリーグは全てが順風満帆とはいえないからだ。むしろ、コロナ禍で多くの課題を抱えている可能性も否めない。J1、J2、J3、全58クラブの地域活動。さらにはクラブ運営の格差、固定ファン・サポーターの獲得、スタジアムの収益化、チケット問題、カテゴリーごとの細かなレギュレーション。きっとチェアマン自身も現状や改善の難しさは、相当熟知しているはずだ。

 上限となる4期8年を務めあげた(前チェアマン)村井満氏は、3月15日で勇退。8年間の大役を終え、蹴球人ならではの印象的な一言を残している。

 「私はスタジアムに行ってサッカーを観戦する日々を楽しみにしております。」

 そして最後の最後に村井さんらしく、日本のサッカー・Jリーグに斬り込んだ。

「(サッカー日本代表・W杯予選ベトナム戦)チケットが取れずに苦労しておりますが、Jリーグの試合が満員で私がチケットを買えないくらいの風景になってもらえたらと願っております」

 球春が到来し、日本全国に最高の週末がやってきた。まもなく迎えるゴーデンウィークの連戦は、2022シーズンのJリーグを象徴する重要なミッションの一つ。私達ファン・サポーターも一つになって選手やクラブと共に戦う。

 次回のGayaR Magazineでは、スポーツメディアの今に着目する。DAZNの大幅値上げについて、ファン・サポーターの目線で、放映権や視聴者の金銭的負担などプロスポーツが抱える多くの課題について深読みしたい。

 Text / GayaR Magazine STAFF

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