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【月刊アナリスト 最終局面】

2023年11月16日 |

サッカーアナリストの定期マガジンとして毎月2回、決まったチームや決まったテーマでお送りしていきます。

上旬は昨季王者の横浜F・マリノスを中心にお送りしています。

今回は、J1リーグも佳境を迎え、残り2試合となったので、そのプレビューとしてお送りします。

置かれた状況は、首位のヴィッセル神戸と勝ち点差が2の2位。連勝するしか優勝の道はないでしょう。もちろん神戸が連敗すれば1勝で逆転ですが、自分たちにフォーカスすれば引き分けすら許されないと設定しているはずです。

その中で迎える33節はアルビレックス新潟戦です。ここで立ちはだかるのは、横浜FMでコーチを務めていた松橋監督。横浜FMの戦術や選手の特徴なども熟知している監督ともあって、やりづらさはあるでしょう。

ここまでの新潟は、ポゼッション率を高めつつ、守備の時間を減らす形で戦ってきた印象です。

データ提供:Opta by Stats Perform

リーグNo.1の支配率を誇る新潟ですが、得点数はリーグ15位。横浜FMとしては、どこを取りどころにして、ディフェンディングサードまで進入させないかが焦点となります。

システムのかみ合わせ的には、ミラーゲームのような形になるので1対1のシーンが増えるでしょう。リンクマンとなる新潟のダブルボランチに対して、横浜FMのダブルボランチがどこまで出ていけるかは注目しても良いと思います。

中央をフォーカスしたのは、新潟のスタイルでもあるからですが、サイドからのクロスシーンが極端に少なく、オープンプレーでのクロス数にあるように、中央を使ってくるからです。

データ提供:Opta by Stats Perform

それは新潟のボランチ含め「展開」より「刺す」ことが多いことを指します。その精度は高く、アタッキングサードでのパス成功率は横浜FMを上回ります。

データ提供:Opta by Stats Perform

この攻撃を止めるのは横浜FMのボランチとセンターバックなのは言わずもがななので、先発起用の選手に期待しましょう。

一方で横浜FMが点を取るためには、同じようなシチュエーションが考えられます。ビルドアップからどれだけアタッキングサード、さらにペナルティエリアに進入していけるかですね。

互いにそこを強みにしているがゆえに、対策してくるでしょう。

データ提供:Opta by Stats Perform

最近は対策されて停滞している時間帯も目にするため、特に前線の4枚には奮起を求めたいですね。くさびを受けに下がった時に失ってしまうケースも散見されます。ボールを相手に渡してしまえばデータ通り、相手の時間が増え自分たちの時間が減ってしまいます。

新潟よりかはA3rdで終わる攻撃回数が多いことは出ているため、この試合でもそのパーセンテージを上げていく必要があるでしょう。

この試合で引き分けても、最終節を待たずして優勝が決まってしまう可能性もあります。勝つしかありません。ホームの最終戦でもあるので多数のファン・サポーターの方も駆けつけるでしょう。どんな内容と結果になるかは楽しみです。

勝てば最終節までもつれ込むことは決まります。最後の試合はこのGayaRで配信しますので、ぜひ決まってない状態でお送りしたいですね。

最後の相手はアウェイで京都サンガF.C.です。まだこの時点で残留が決まっていないチームですが、2試合で勝ち点1でも取ると高い確率で残留できるでしょう。

前節の川崎フロンターレ戦では常に先行しながらも同点に追いつかれての引き分けでしたが、非常にアグレッシブにプレスをかけたり、背後へのランニングを3トップがいとわず行い続ける戦うチームという印象です。

前回対戦は4-1での勝利でしたが、最終節はアウェイですし簡単な相手とはならないでしょう。

京都は相手のビルドアップを阻止できず、ペナルティエリアまで進入されている回数が多いことからも、新潟戦とは様相が異なるでしょう。横浜FMも多いのは以前にここでご紹介した通りですが、ハイプレスを回避しながらシュートシーンまで至る回数を増やせられるかどうかですね。

データ提供:Opta by Stats Perform

最後に笑うのは横浜FMか神戸か。2023年のJリーグも残り2試合です。皆さんも楽しみましょう。

ここで書き切れない細かい話や動画解説などはオンラインサロンで展開していますので、ご興味あれば検索してみてください。

それでは、また次回お会いしましょう。

Profile

杉崎健

1983年6月9日、東京都生まれ。データスタジアム株式会社を経て、2014年からヴィッセル神戸の分析担当に就任。2016年はベガルタ仙台の分析担当を務め、2017年から2020年までは横浜F・マリノスでチームや対戦相手を分析するアナリストを務め、2019年にクラブの15年ぶりとなるJ1リーグ制覇にも貢献。現在は「日本代表のW杯優勝をサポートする」という目標を定め、フリーのサッカーアナリストに転身し、Twitterやオンラインサロン運営などでも活動している。


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