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【パリ五輪アジア2次予選】女子日本代表がグループCを全勝無失点で危なげなく1位通過!

2023年11月15日 |

サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)のパリオリンピックアジア2次予選が10月26日〜11月1日の日程で開催された。アジア2次予選は12チームが4チームずつの3グループに分かれて総当たり戦で戦い、各グループ1位の3チームと、各グループ2位の中の成績最上位1チーム、計4チームが来年2月に行われる最終予選に進出できる。

FIFAランキング8位の日本が入ったグループCには、ランキング61位のインド、50位のウズベキスタン、34位のベトナムが選出された。これら各国の女子代表チームに対し、池田太監督率いるなでしこジャパンがどのような戦いを繰り広げたのか見ていこう。

女子オリンピック サッカートーナメント パリ2024 アジア2次予選
日本代表(8位) 7-0 インド代表(61位) @Lokomotiv Stadium(ウズベキスタン)
2023/10/26 15:00(日本時間 19:00) キックオフ NHK BS1
日本:中嶋淑乃 17/中嶋淑乃 46/林穂之香 53/田中美南 54/守屋都弥 57/清家貴子 73/猶本光 82

初戦となったインド戦、池田太監督が組んだスタメンはGK平尾知佳、最終ラインにDF三宅史織、DF高橋はな、DF守屋都弥、DF石川璃音の4枚。アンカーにMF熊谷紗希、インサイドハーフにMF長谷川唯とMF杉田妃和、左サイドにMF中嶋淑乃、右サイドにMF猶本光、センターにFW田中美南を配置。9月のアルゼンチン戦と同様に攻撃重視の形で4−3−3のフォーメーションを採用した。

試合は開始早々からFW田中のシュートがゴールポストをかすめ、その後もインサイドハーフのMF長谷川とMF杉田が攻撃の形を作りサイドから相手ゴールを狙うなど、日本が主導権を握る形で展開した。
すると前半17分、日本が中央でボールをつなぎ、MF長谷川からペナルティエリア内でボールを受けたMF中嶋が左足を振り抜き先制ゴール。中嶋のなでしこジャパン初ゴールとなった。

その後も前半26分にはペナルティエリア手前でFKを得て、MF猶本がゴールを狙うがボールは枠外へ出るなど、チャンスは作るが5バックで守りを固めるインドに思うようにゴールが決められない展開が続き前半戦が終了。

後半戦、池田太監督はMF杉田妃和に代えてMF林穂之香を投入。すると後半開始1分に相手ペナルティエリア内でMF猶本からDF守屋とつないだクロスをMF中嶋が押し込んでこの試合2点目のゴール。

さらに池田太監督はMF熊谷紗希に代えてMF長野風花を、MF長谷川唯に代えてMF清家貴子をピッチに送り込むと日本にゴールラッシュが訪れる。後半8分にゴール前の混戦からMF林がゴール。さらにその1分後にはMF清家のクロスをFW田中が頭で合わせてゴール。その3分後にはペナルティエリア内左からのFW田中のクロスを中央でDF守屋が合わせて左足でゴール。守屋もなでしこジャパン初ゴールとなった。

得点差を一気に5点と広げた日本はFW田中美南に代えてFW千葉玲海菜を投入。なおも攻撃の手を緩めず攻めると、後半28分にはMF中嶋のグラウンダークロスをMF清家が合わせて6点目。さらにDF高橋はなに代えてMF遠藤純を投入すると、その遠藤とのコンビネーションからMF中嶋が左に抜け出しゴール前にボールを入れ、MF猶本がそれを押し込んで7点目のゴール。その後アディッショナルタイム中に唯一と言えるピンチはあったが、DF石川がブロックして7−0で日本が勝利となった。

女子オリンピック サッカートーナメント パリ2024 アジア2次予選
日本代表(8位) 2-0 ウズベキスタン代表(50位) @Bunyodkor Stadium(ウズベキスタン)
2023/10/29 17:00(日本時間 21:00) キックオフ NHK BS1サブチャンネル
日本:南萌華 10/千葉 玲海菜 15

2戦目のウズベキスタン戦は初戦と同じ4−3−3だが、GKを山下杏也加に。最終ライン4枚はDF高橋はなだけ同じで、それ以外をMF遠藤純、DF南萌華、DF清水梨紗に。アンカーは変わらずMF熊谷紗希だが、インサイドハーフをMF林穂之香とMF長野風花に。左サイドをMF宮澤ひなた、右サイドをMF清家貴子、センターをFW千葉玲海菜へと、合計9人を変えるフォーメーションにした。

日本女子サッカーでもコーチや監督を務めた本田美登里監督率いるウズベキスタン代表との戦いとなったこの試合、日本は試合開始早々にウズベキスタンに縦の攻撃からシュートを打たれるピンチを迎えるもGK山下がクリア。するとその後は日本が主導権を握りハイプレスでボールを奪い相手ゴールに迫る。
そして前半10分。左CKからMF遠藤がボールを上げると、ファーサイドにいたDF南がヘディングシュートでゴールネットを揺らす。さらに前半15分にも、左サイドからの攻撃でMF遠藤がペナルティエリア内左のFW千葉へパス。これを千葉が角度が厳しいながらも相手GKの頭を超えるシュートで2点目を決めた。

早々に2−0とした日本は、その後もボールを支配するが相手サイドの外側でボール回しをして好機をうかがいつつ時間のみが進む展開が続く。これに対しウズベキスタンもリスクを負ったボール奪取はしようとせず、そのまま前半戦が終了。

後半戦に入り日本は、MF長野風花に代えてMF中嶋淑乃を、MF林穂之香に代えてMF猶本光を投入。だが前半同様に無理に攻撃を仕掛ける動きは見せず、パスを回して時間を進めるプレーが目立つ。

そして後半17分にはDF高橋はなに代えてDF三宅史織を、アンカーのMF熊谷紗希に代えてMF長谷川唯を投入。後半38分にもMF清家貴子に代えてMF杉田妃和を投入と交代枠を使うが、プレー展開は変わらず。日本は無理に攻撃を仕掛けずボールキープに終始。ウズベキスタンも危険な仕掛けはしてこない展開で2−0で日本が勝利となった。

後に物議をかもす展開となった一戦だが、池田太監督の取ったこの作戦がパリ五輪アジア2次予選が全て終わった時に功を奏す結果となるのだった。

女子オリンピック サッカートーナメント パリ2024 アジア2次予選
日本代表(8位) 2-0 ベトナム代表(34位) @Lokomotiv Stadium(ウズベキスタン)
2023/11/1 15:00(日本時間 19:00) キックオフ NHK BS1
日本: 清水梨紗 40/守屋都弥 53

ここまでグループCの戦いを2連勝し、引き分け以上でグループリーグ突破が決まる日本。このベトナム戦では3日前に行われたウズベキスタン戦のスタメンから3人を変更。GKをアジア2次予選初出場の田中桃子に代え、最終ライン4枚はそのままMF遠藤純、DF南萌華、DF高橋はな、DF清水梨紗に。アンカーも同じくMF熊谷紗希だが、インサイドハーフをMF長谷川唯とMF長野風花に。前線は左サイドにMF宮澤ひなた、右サイドをFW千葉玲海菜にして、センターにFW田中美南が構える4−3−3のフォーメーションとなった。

試合は早々からベトナムがパス回しで日本エリアを攻めるも、日本DF陣の守りでシュートは打たせない。すると以降は日本が主導を握り、ベトナムエリアでの攻防が展開。だが初のオリンピック出場を目指すベトナムのマークを固めた粘り強い守り、そして裏を狙う攻撃に、日本は思うように攻めきれない展開が続く。

それでも前半16分、DF南の自軍エリアからのロングパスを受けたFW千葉がペナルティエリア右でこの試合初のシュート。これはゴールポストの外に出るも、その直後の17分にもペナルティエリア左手前からのMF長野のクロスをFW千葉がヘディングシュート。ファーサイドからゴールに吸い込まれそうになるも、ベトナムGKコン ティ ハンがファインセーブ。さらに前半25分にも縦パスからのボールをFW田中がペナルティエリア手前でシュートを打つが、ベトナムGKがまたもファインセーブと、なかなかゴールが決まらない。

主導を握り攻める日本、粘り強く守り裏を取ろうとするベトナム。試合が動いたのは前半40分だ。ベトナムエリアでMF長谷川からFW千葉へと縦パスが繋がり、千葉からのボールをペナルティエリア左でMF宮澤が受けるとファーサイドに詰めたDF清水にグラウンダーパス。これを清水が押し込んで日本が先制点を奪う。

1点リードで迎えた後半戦。日本はDF高橋はなに代えてDF守屋都弥を、FW千葉玲海菜に代えてDF三宅史織を投入。すると後半8分、右CKからMF長谷川がゴール前に入れたクロスをベトナムGKコン ティ ハンが足でセーブするも、ボールはペナルティエリア内へ高く上がり混戦状態に。ここで相手DFのクリアをMF熊谷が身体で止めると、こぼれ球をDF守屋がゴール左へ押し込んで日本が追加点。

点差を広げて優位に立った日本は主導権を渡さず、後半22分にはMF熊谷をMF中嶋に代えてさらに攻めるがベトナムの粘り強い守りに得点には至らず。負けられないベトナムも日本エリアを攻めるが、日本は後半34分にMF宮澤ひなたに代えてMF林穂之香を、MF遠藤純に代えてMF6杉田妃和を投入して、攻撃の手を緩めず相手の反撃を防ぎ試合終了。グループリーグ全勝を無失点で成し遂げ1位通過となった。

パリ五輪アジア2次予選の全日程が終了し、来年2月のアジア最終予選出場国はグループA1位通過のオーストラリア、グループB1位通過の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、グループC1位通過の日本と、グループC2位通過のウズベキスタンとなった。グループA2位のフィリピンも勝ち点はウズベキスタンと同じ6だったが、得失点差で敗退。もし仮にフィリピンが最終予選通過となれば、日本は最終予選を前回W杯4位のオーストラリアと戦うことになっていた。日本とオーストラリアの気候は真反対。ホーム&アウエイで戦う最終予選を、2月で真冬の日本と、真夏のオーストラリアの両方で行うとなればコンディション的にも勝ち負けはわからなかったところ。だがウズベキスタン戦で得失点差を広げない戦い方をした池田太監督の判断が功を奏し、日本のアジア最終予選対戦国はより突破の可能性が高い北朝鮮となった。

Profile

小池昌敏

1967年神奈川県生まれ。編集兼ライター歴30年以上のフリーで活躍するベテラン記者。スポーツはサッカーから野球、釣りまで何でも大好きだが、基本的に身体を使うのは苦手で観戦が専門。


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