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【天皇杯準決勝】4強の対決! 決勝に勝ち残るのは!?

2023年10月13日 |

全88のクラブチームが熱戦を繰り広げてきた「天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会」。伝統ある大会の第103回もついにベスト4が出揃い、先ごろ決勝に進む2チームを決める準決勝戦が行われた。昨シーズンのメジャータイトル制覇チームが姿を消し、荒れ模様となった今大会。果たしてファイナルにコマを進めるのはどのチームか!?

天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会準決勝
ロアッソ熊本(J2) 4-0 柏レイソル(J1) @三協フロンテア柏スタジアム
2023/10/8 13:10 キックオフ
柏レイソル: 戸嶋祥郎 9/片山瑛一 49/細谷真大 54/高嶺朋樹 94

クラブ史上初のベスト4進出でありJ2で唯一勝ち進んだロアッソ熊本は、8日前に行われたJ2仙台戦からセンターFWを伊東俊に、右サイドFWを島村拓弥へと2人を変えた3−3−1−3のフォーメーションで今大会4度目のJ1斬りジャイアントキリングを狙う。

第92大会以来の優勝を目指す柏レイソルは、同じく8日前のJ1札幌戦からDFの犬飼を立田悠悟に、右サイドMFの山田を戸嶋祥郎へと2人変えた4−4−2のフォーメーションでファイナル進出を狙う。

試合は開始早々、球際の攻防で熊本の大西と柏の戸嶋が激しくクラッシュ。大西が立ち上がれず頭部出血の治療で4分ほど試合が中断される。この際、大西にイエローが出て早々に柏が好位置でFC。このセットプレーでジエゴがヘディングでゴールを狙うも惜しくもゴール外へ。その後も柏は前へプレスして圧力をかける。対する熊本は繋ぐプレーで守りを固めるが、前半9分には柏の戸嶋がプレスでボールを奪い細谷に回すと、細谷が縦に切り込んでファーサイドに戻し、走り込んだ戸嶋がヘッドでゴール。柏が先制した。

流れを変えたい熊本は得意の繋ぐプレーで守り、柏エリアへ切り込みを見せる。そして17分には柏ゴール近くでボールを繋ぎ、左ウイングの松岡がこの試合初のシュートを撃つもボールはゴール上へ。その後も繋ぐプレーで守り攻める熊本に対し、個々の能力の高さでボールを奪い、ハイプレスで攻撃をかける柏。柏が優勢で攻めるも熊本が守りきって前半が終わるかに思われたアディッショナルタイム中の前半49分、この試合最初の柏のCKを熊本がクリアするも、2回目のCKでキッカーのサヴィオがニアサイドに入れた低いボールを片山が押し込み2点目のゴールで前半終了となった。

両チーム共に選手交代なく迎えた後半戦も序盤から柏が攻め、最初のCKからのセットプレーでジエゴが熊本ゴールを脅かす。対する熊本は前半戦と同じ繋ぐプレーで最終ラインからボールを回し柏エリアへ切り込む。だが柏の早いプレスバックに阻まれ、逆に攻められるシーンが目立つ。そして後半9分、ロングボールを入れられるとサヴィオから左サイドのジエゴにボールが渡り、ジエゴから再び中央に横パスが戻るとサヴィオがこれをペナルティエリア手前から強烈なシュート。これが細谷に当たってコースが変わりキーパーの逆をついて3点目。

熊本はこの後、MF豊田に変わって阿部海斗を、FW伊東に変わって粟飯原尚平を入れる。だがハイプレスで攻める柏優勢の流れは変わらず、熊本はなかなかシュートも打たせてもらえない展開。そして後半戦のアディッショナルタイム、柏の高嶺がCKからのこぼれ球をシュートしダメ押し点を決めたところで試合終了。

今大会、再三J1チームを破ってきた熊本だが、スタジアムが揺れるほど大勢の地元サポーターに後押しされた柏を破ることはできなかった。柏はこれでクラブチーム3回目となるファイナルに進出。11大会ぶりとなる優勝を目指す。

天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会準決勝
川崎フロンターレ(J1) 4-2 アビスパ福岡(J1) @等々力陸上競技場
2023/10/8 15:30 キックオフ
川崎フロンターレ: 山村和也 5/橘田健人 53/マルシーニョ 70/レアンドロ ダミアン 81
アビスパ福岡: 金森健志 42/鶴野怜樹 96

第100回大会以来の優勝を狙う川崎フロンターレは、4日前のACLチャンピオンズリーグ戦から右ウイングの瀬川を家長昭博に変えた4−1−2−3のフォーメーションで、今シーズン残り一つとなった国内タイトル奪還を狙う。

天皇杯初のベスト4に進出、JリーグYBCルヴァンカップでもベスト4に進出して勢いに乗るアビスパ福岡は、8日前のJ1鹿島戦からボランチの平塚を井手口陽介に、サイドの湯沢を小田逸稀に変えた3−4−2−1のフォーメーションで初のタイトルを目指す。

試合は川崎Fが早めにボールを前に出す川崎Fらしい形で展開。早々に左CKを獲得し、脇坂がクロスを上げる。するとこれをセンターバックの山村が高い打点で頭で合わせて先制ゴール。すると川崎Fはボール回しでのポゼッションが多くなる。これに対し福岡は守りの際にセンターバックを3枚にして計5枚の最終ラインで守備。強固なブロックで川崎Fの攻めを防ぐ展開が続く。

前半戦中盤まではポゼッションする川崎Fが優位に展開するが、30分を過ぎた辺りから福岡が攻める時間が長くなる。そして前半33分にはFKで今野がサイドに上げたボールを福岡の小田がヘディングシュートするがボールはクロスバーの上へ。さらに36分にも左サイドから小田が低いクロスを入れ金森がヘディングシュートするが、相手DF山村に当たってしまいゴールならず。攻守逆転で福岡が攻める時間が多くなる中、福岡DFの隙をついて川崎Fの脇坂が絶妙なスルーパス。マルシーニョが完全に抜け出しGK村上と交錯してPKを獲得。だがこのPKでレアンドロ ダミアンが放ったシュートを福岡GK村上がビッグセーブ。そして村上が川崎Fサイドに大きく蹴り出すと、福岡が右サイド奥でスローインを獲得。このボールを受けた山岸が前を向き縦に攻め込み、ペナルティエリア右からゴール前に戻したボールを金森がシュート。福岡が同点に追いつき前半戦終了となる。

後半戦開始時も前半終盤の勢いのまま福岡が攻め、前嶋のクロスを山岸がヘディングシュートするがボールはゴールポストの上へ。さらにその後も川崎Fのペナルティエリア周辺で攻防が続き、福岡に再三シュートチャンスが訪れる福岡ペースで試合が展開。

だが後半8分。福岡エリアに切り込んだ川崎Fがパス回しから左サイドに攻め込み、登里が中央にクロス。これを福岡GK村上が弾き出すと、こぼれたボールを橘田がペナルティエリア手前からシュート。奈良がクリアしようとするも、軌道が変わるだけでボールはゴールネットに吸い込まれ川崎Fが再び勝ち越し。さらに後半11分にも川崎Fの瀬古がペナルティエリア中央でワンタッチシュートを放つが、福岡GK村上がボールを弾くナイスセーブ。主導権が川崎Fに移って行く。

そして後半20分、福岡はFWの金森に変えて攻撃的な鶴野怜樹を入れ、DF小田に変えて縦の推進力がある湯澤聖人を投入。鶴野が切り込み相手ペナルティエリア内での攻防が続くも、GKチョン ソンリョンが戻したボールが後ろでカウンターを狙っていたマルシーニョに通り、飛び出してきたGK村上の頭を越すループシュートで3点目。

ここで福岡はFW紺野に変えて、前線での明確なターゲットとして活かすべく長身のウェリントンを投入。川崎もMF瀬古に変えてアンカーポジションにジョアン シミッチを、FWマルシーニョに変えて瀬川祐輔を投入し守りを固めてくる。福岡はさらにDFドウグラス グローリに変えて三國 ケネディエブスを入れると、三國はディフェンスの際も前線に残り続けて攻撃的に動く。だが次のゴールを決めたのは川崎F。後半36分、左CKから脇坂がクロスにボールをあげると、レアンドロ ダミアンが頭で押し込んで決定的な追加点。

後半戦終盤、福岡は意地を見せ攻め続け、アディッショナルタイムには鶴野がシュートを決め一矢報いるも、ここで試合終了。

J1リーグ戦で躍進、JリーグYBCルヴァンカップでもベスト4に残る躍進を見せている福岡を、J1リーグ戦とJリーグYBCルヴァンカップを不本意な結果に終わり、是が非でも天皇杯制覇を狙いたい川崎Fが見事に下した結果となった。

天皇杯決勝戦は川崎フロンターレVS柏レイソル。12月9日、国立競技場で行われる。栄冠を手にするのはどちらだ!?

Profile

小池昌敏

1967年神奈川県生まれ。編集兼ライター歴30年以上のフリーで活躍するベテラン記者。スポーツはサッカーから野球、釣りまで何でも大好きだが、基本的に身体を使うのは苦手で観戦が専門。


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