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【女子国際親善試合】なでしこジャパンが大量8得点でアルゼンチンに圧勝!

2023年9月29日 |

女子代表国際親善試合
日本代表(8位) 8-0 アルゼンチン代表(31位) @北九州スタジアム(福岡県)
2023/9/23 12:00 キックオフ テレビ朝日
日本:田中美南 2/長谷川唯 10/高橋はな 25/長谷川唯 39/濱家貴子 61/杉田妃和 66/植木理子 80/濱家貴子 92

2024年パリオリンピックのアジア第2次予選を来月に控えた池田太監督率いるなでしこジャパンが、北九州スタジアムで行われた国際親善試合でアルゼンチン女子代表に大差の勝利を収めた!

女子W杯ニュージーランド&オーストラリア2023からの再始動となったこの試合、池田太監督はW杯を戦った3−4−2−1や3−4−3ではなく、パリオリンピックへの準備であろう4−3−3のフォーメーションを実行。W杯準々決勝のスタメンから3人を入れ替え、GKには平尾知佳、最終ラインに清水梨沙、高橋はな、南萌華、遠藤純。センターハーフに熊谷紗希、インサイドハーフに長谷川唯、長野風花。ウイングに猶本光、宮澤ひなた、センターフォワードに田中美南を置き、中盤に厚みを持たせる形を取った。

対するアルゼンチン代表もW杯グループステージ以来の代表選で、最後に行われたスウェーデン戦から7人を入れ替えた4−3−3のフォーメーションを組んできた。

日本ボールでキックオフとなったわずか2分後、アルゼンチン最終ラインのコメッティが戻されたボールをキープミス。そこへ素早く田中美南が入ってきてゴール左へ正確にシュート。相手のミスを見逃さない的確な動きで先制点を決めた。

さらに6分には運動量豊富な清水がワンツーで相手ゴール前に抜け出すも、惜しくもオフサイド。だがその後も良い形で攻める日本、9分には左サイドで遠藤から宮澤へ渡ったボールを宮澤がゴール前へクロス。ここへ抜群のタイミングで入ってきた田中美南をアルゼンチンのコメッティが押し倒してイエロー、PKとなる。このPKを長谷川が決めて2点目。立ち上がり早々から良いペースで日本が得点を重ねる。

前半中盤、日本が守りの時間帯になることもあったが、キャプテン熊谷を中心に良い距離感で相手ボールを奪い、日本の攻撃へと転じるシーンが目立つ。左サイドバックに遠藤、右サイドバックに清水がいることで、熊谷がディフェンスラインの前にいたりディフェンスに入ってきて3バックを作ったりと、流動的に動けるのだ。池田太監督が描く4−3−3の戦術が良い形で機能している証拠と言えるだろう。
日本は23分にも田中がシュートを撃つもアルゼンチンGKがビッグセーブし、こぼれたボールを清水がシュートでゴールポストに直撃と惜しい攻撃が続き、25分に遠藤が左から中に入れたクロスを飛び込んできた高橋はなが見事なヘディングでゴール。さらに39分には長谷川が縦に抜け出し相手DFをかわして綺麗にシュートで4点目。さらに43分には猶本のシュートがゴール左外に、45分には宮澤のシュートが相手GKの手を弾くもゴールポスト左に当たって入らずと、日本が攻め続ける展開で前半戦が終了した。

後半戦、日本はワントップの田中美南を植木理子に、右サイドの猶本光を杉田妃和にチェンジ。これまでセットプレーでの得点がない日本だけに、精度の高いキックが持ち味の杉田でセットプレーからの得点を狙いたいところだ。

対するアルゼンチンはサイドハーフのラロケッテをカタリナ プリモに、ボランチのファルファンをネレア アグエロに、フォワードのログニロをキアラ シンガレラにチェンジ。システムをダブルボランチからトリプルボランチに変え、ディフェンス力を強化してきた。

後半戦序盤、交代で入った杉田が絡む日本の攻撃シーンが多数見られるが、ディフェンスを強化したアルゼンチンがことごとく耐える。そして後半15分、サイドハーフの長野に代わり林穂之香が入り、左サイドの宮澤に代わり清家貴子が入る。すると後半16分、相手ゴール前で熊谷から林にボールが渡り、林が潰されるもこぼれ球を清家がうまく流し込んでゴール。各選手の絶妙な距離感が功を奏して5点目が入る。

さらに後半21分、清家から相手ディフェンスラインにいた杉田にロングボールが渡り、杉田がディフェンをかわしてGKと1対1になり6点目が入る。さらに後半35分、ロングボールを相手ペナルティエリア内でトラップした植木が倒されてPKとなり7点目。そして極めつけは後半46分、ペナルティエリア手前で清家が相手DFとGKの頭上を山なりに超えるフワッとしたシュートで2ゴール目。8点目を入れてそのまま試合終了。再始動したなでしこジャパンがパリオリンピックに向けて良い形で試合を決めた。

ただ課題も残されている。なでしこジャパンはW杯から数えてこの試合でも、セットプレーからの得点を一度も奪えていない。この試合で日本が奪ったCKは5本。さらに前半27分には相手のハンドからペナルティエリア手前でセットプレーを行うシーンもあった。これらのチャンスをしっかり決める得点力を持つことが、東京の3枠からパリで2枠に減ってしまったオリンピックアジア出場枠を勝ち取る鍵になるだろう。

Profile

小池昌敏

1967年神奈川県生まれ。編集兼ライター歴30年以上のフリーで活躍するベテラン記者。スポーツはサッカーから野球、釣りまで何でも大好きだが、基本的に身体を使うのは苦手で観戦が専門。


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