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【キリンチャレンジカップ2023】トルコ代表を下し2002年日韓W杯からの呪縛を解き放った!

2023年9月20日 |

キリンチャレンジカップ2023
トルコ代表(41位) 2-4 日本代表(20位) @セゲカ・アレーナ(ベルギー)
2023/9/12 14:20(日本時間 9/12 21:20)キックオフ 日本テレビ
トルコ:オザン カバク 44/ベルトゥー ユルドゥルム 61
日本:伊藤敦樹 15/中村敬斗 28/中村敬斗 36/伊東純也 78

この試合の3日前、強豪ドイツ代表との戦いで4対1と完璧な勝利を見せた森保ジャパンが、勢いそのままにトルコ代表にも勝利した!

トルコ代表との戦いは日本が初めてワールドカップで決勝にたどり着いた2002年日韓ワールドカップ決勝トーナメント以来。その試合を0−1で破れて以降、日本代表は10年、18年、22年とワールドカップで決勝トーナメントに進出するも、全て1回戦敗退と、トルコ代表には時を止められた因縁がある。2026年ワールドカップで日本代表が新しい景色を見るためには、必ず倒して止まった時を再び動かさなければならない相手だ。

トルコ代表は直近のアルメニア代表戦からスタメン9人を入れ替えた4-1-4-1のフォーメーション。対する日本も直近のドイツ代表戦からスタメン10人を入れ替え、古橋をワントップ、左サイドに中村、右サイドに堂安、ドイツ戦で2アシストを決めた久保をトップ下に置いた4-2-3-1のフォーメーションを組んだ。


日本のキックオフで試合開始。前半戦序盤は両チーム共に譲らない攻防で互いのエリアを目まぐるしく行き来するも、どちらにも決定機は訪れない。すると前半11分、相手ワントップのユルドゥルムが抜け出し、センターバックの裏を取ってシュートを放つもキーパー中村航輔が弾いてボールはゴール左外へ。ここから試合は動き出し、相手ペナルティエリア右へ切り込んだ伊藤敦樹がフェイントで相手を揺さぶりペナルティエリア内へ。そして堂安とのワンツーでゴール右上に力強いシュート! 伊藤が代表初選出で初ゴールを決めた瞬間だ。


さらに前半19分、久保が切り込んで古橋につなぎ、キーパーと1対1になるも古橋のシュートはゴールの外へ。続いて25分にも相手ペナルティエリア前での攻防から久保が前を向いてゴール前へボールを入れるも、堂安のタイミングが合わずキーパーに防がれる。だが直後の28分、ペナルティエリア前から久保がシュートを放ちキーパーが弾くと、こぼれ球を中村敬斗がゴール右にシュート。日本代表に2点目が入る。

この辺りから久保は低い位置に下がることがあり、最終ラインにボールがある時などはボランチより下がることも。明らかにワールドカップを意識した、全ての選手が攻めも守りもこなせる動きを試しているようだ。

すると前半36分、右から毎熊が相手エリアへ攻めると、上がってきた久保がDFを引きつける間に左の中村敬斗へクロスを出し中村がシュート! 日本代表がトルコを突き放す3点目を決めた。久保の動きと中村の位置をよく見ていた毎熊のファインプレーと言えるゴールだ。

3点差となったトルコ代表はサポーターのブーイングも目立つようになり、荒っぽいプレーが増える。そして前半43分、毎熊とソユンジュにイエローカード。トルコが日本サイド左からのセットプレーを得て、コクチュがファーサイドにボールを上げる。これをミュルドゥルが頭で合わせるもGK中村が好セーブ。だがこぼれ球をオザン カバクが頭で押し込んでトルコが初ゴール。このセットプレーでGK中村が肩を痛め、シュミット ダニエルと交代。さらにトルコはコーナーキックからゴールを脅かすが、シュミットが好セーブを見せて前半戦終了となる。

後半戦、日本は前線の堂安と中村敬斗を伊東と前田に、右サイドバックの毎熊を橋岡に交代。橋岡が右サイドバック、サイドハーフに伊東と前田を入れて守りを強化。対するトルコはGK含む5人を交代させ、2点差の巻き返しを図る。

後半戦も流れは日本ペースで進み、序盤に訪れたトルコのCKもクロスボールを交代で入った橋岡がしっかりガード。逆に後半10分、11分、14分と、決まりはしなかったが決定機を何度も作る攻めを見せる。だが直後の後半16分、左サイド深くからサリが送った横パスをウンデルがシュート気味に撃つも谷口がセーブ。だがこのボールを中央に走りこんできたユルドュルムが左足で押し込んでトルコがゴール。1点差に迫られた日本は直後に久保からのスルーパスを受けた前田がクロスを入れ、古橋が合わせるがボールは惜しくもゴールポストへ。ここで森保監督は伊藤敦樹に変えて遠藤航を投入。相手に傾き始めた流れを中盤に遠藤を入れて取り戻そうとする。

この森保監督の考え通り、ここからトルコの動きに勢いが出て日本サイドを攻め続けるも、遠藤がしっかりと防いでカウンターを狙うなど、ワールドカップに向けたシミュレーションがハマっていく。すると後半31分、トルコのCKからクリアで出てきたボールを伊東が奪い、相手ペナルティエリア内まで一気に駆け抜ける。ここでトルコのユクセクが伊藤を背後から掴み倒してイエローとなりPK。キッカーも伊東がつとめ、キーパーの逆をついて4点目獲得。

再び2点差としたことで守備も落ち着き、ここからは日本ペースで進んで試合終了。後半中盤は4点目を取るまでトルコのスピードある攻めに苦しんだが、GKシュミット ダニエルが防いで因縁の対決に終止符を打つ形となった。

これで日本代表は4連勝。欧州遠征を良い形で締めくくることになった。試合後に森保監督が「ドイツ戦からトルコ戦(の連戦で)、大幅にメンバー変更するなか、選手層を上げる、戦術を共有するという部分で選手たちが良い経験を積んでくれた。より厚い選手層の中でより強いチーム、より勝つ確率を高められるチームを作っていこうと思ってます」と語ったように、2026ワールドカップではきっと新しい景色を見ることができるだろう。

Profile

小池昌敏

1967年神奈川県生まれ。編集兼ライター歴30年以上のフリーで活躍するベテラン記者。スポーツはサッカーから野球、釣りまで何でも大好きだが、基本的に身体を使うのは苦手で観戦が専門。


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