Feature

【AFCチャンピオンズリーグ2022】浦和レッズ、優勝おめでとう!

2023年5月10日 |

AFCチャンピオンズリーグ2022年大会決勝。ホーム&アウェイ2試合で合計180分のゲームは、お互いに死力を尽くして戦った好ゲームとなった。ポゼッションは1stレグ、2ndレグともに、アル・ヒラル71%、浦和29%と圧倒的にアル・ヒラルが支配。しかし、浦和はスペースを埋め、デュエルで勝利し、GK西川がビッグセーブを連発して、アル・ヒラルの攻撃を1点に抑え込んだ。1stレグ、2ndレグともに90分間前線からハイプレスをかけ続けて、アル・ヒラルに気分よくビルドアップさせなかった。

浦和にとっては3大会前、ホーム&アウェイ2試合制で行われた2019年大会で同じアル・ヒラルに0-3で敗れており、格好のリベンジの舞台となった。2022年8月25日に行われた準決勝から8ヵ月空いての決勝戦。Jリーグは新シーズンに入り、監督が交代し、チームの編成も変わった。J1リーグでは2連敗スタートだったが、立て直して戦うチームとなった。

一方のアル・ヒラルも勝たなければならない理由があった。今年のクラブ・ワールドカップはサウジアラビア開催。開催国枠はサウジ・プロフェッショナルリーグ2022/2023シーズン優勝クラブで、現在4位のアル・ヒラルは、アジアチャンピオンとなってクラブ・ワールドカップへ凱旋出場を目指している。

AFCチャンピオンズリーグ2022 決勝 1st leg
アル・ヒラル 1-1 浦和 @ キングファハド インターナショナルスタジアム(リヤド)
2023年4月29日 20:32(日本時間2:32)キックオフ
アル・ヒラル:アルダウサリ 13(ミシャエウ)
浦和:興梠 53

1stレグ。キングファハド インターナショナルスタジアムはアル・ヒラルのカラー青一色となった。アル・ヒラルはキックオフから浦和ゴールへ迫り、13分に先制点を挙げる。右サイドを突破したミシャエウのクロスにGK西川は触れず、逆サイドに飛び出したアルダウサリが決めた。アル・ヒラルがポゼッションしてボールを回すが、浦和はしっかりブロックを作り、プレスからボールを奪ってショートカウンターを繰り出すという展開が続いて、アル・ヒラルの窒息させるようなパス回しが25分過ぎには消えてしまう。小泉、岩尾が縦への突破を限定し、前線に出されても粘り強くマークすることでアル・ヒラルの攻撃を遅らせて数的有利を作らせなかった。後半、小泉のプレスが功を奏し、同点に追いついた。パスカットから岩尾、大久保とつないでのスルーパス。アルブライヒがひっかけたボールはGKアルマユーフがカバーできず、ポスト直撃で跳ね返り、走り込んだ興梠が決めた。貴重なアウェイゴールを奪った浦和は粘り強いプレーでアル・ヒラルの猛攻をしのぎ、87分にアルダウサリが、岩尾のファールにリベンジの足蹴りをやってしまって一発レッドでひとり多くなったこともあって、1-1で折り返した。

AFCチャンピオンズリーグ2022 決勝 2nd leg
浦和 1-0アル・ヒラル @ 埼玉スタジアム2002(さいたま)
2023年5月6日 18:01 キックオフ
浦和:オウンゴール 48(カリージョ)

2ndレグ。埼玉スタジアム2002は浦和の赤一色、バックスタンドからURAWA AIRがゴール裏の世界地図へ飛んでいく見事なコレオグラフィーが披露された。1点取らなければ負けるアル・ヒラルは猛攻を仕掛け、立て続けにボックス内でチャンスを作る。風上のアル・ヒラルは正確なフィードでワイドへはたき、イグアロ、アルハムダンにボールを集めた。浦和は小泉を前線に当てて、ワイドで競り勝ってボール奪取のポイントとしてアル・ヒラルの攻撃をしのぎ切った。後半に入って48分、浦和が逆転に成功する。小泉へのファールで得た真ん中遠目のFKを岩尾が前線へフィード、ボックス左でホイブラーテンが折り返し。興梠は届かなかったものの、カバーに入ったカリージョがクリアしきれず、ボールはゴールに吸い込まれた。アル・ヒラルの前線へのフィードが風で押し戻される強い風上に立った浦和は、ショートカウンターから何度も追加点のチャンスを作り、アル・ヒラルの焦りを誘った。巧みな選手交代でラインに穴を作らず、アル・ヒラルはポゼッションしてもボックス内に決定的なパスを出せないまま時間が経過。アディショナルタイムのイグアロの強烈なシュートもGK西川がビッグセーブでしのぎ切り、タイムアップを迎えた。

浦和は2007年、2017年に続く三度目の戴冠で、クラブ・ワールドカップの出場権と2023・2024シーズンのAFCチャンピオンズリーグへプレイオフからの出場を決めた。
浦和へ特大のおめでとうを言いたい。圧倒的にポゼッションされても、押し込まれないすばらしいサッカーだった。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


Contact

GayaR Magazineへのお問い合わせはこちら

お問い合わせ