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第2次森保政権最初の代表戦は課題の見えたドローに

2023年3月28日 |

キリンチャレンジカップ 2023
日本代表(20位) 1-1 ウルグアイ代表(16位) @ 国立競技場
2023/3/24(金) 19:30 Kickoff テレビ朝日系列
日本:西村 75(伊東)
ウルグアイ:バルベルデ 38

ワールドカップカタール大会から3ヵ月。第2次森保政権初の代表戦は、東京五輪日本代表12人、パリ五輪世代U21日本代表ふたりが招集されて一気に若返った。コロナ陰性判定が出なかった久保が合流できず、左膝の怪我で前田が別メニューなのは残念だが、ブライトンのエースに駆け上がった三笘をはじめ、堂安、鎌田、初招集の西村と前線は多士済々で楽しみだ。

ウルグアイ代表はGKムスレラ、ヒメネス、ゴディン、カバーニの4人がワールドカップカタール大会最終節ガーナ戦での不祥事で出場停止。最終ラインを締めるアラウホ、中盤の要のベンタンクール、スピードスターのヌニェスが怪我で不在だが、バルベルデ、ベシーノ、オリベラら粒ぞろいのメンバーが来日した。

日本は前日会見で森保監督がコメントしたように、4-2-3-1でスタート。GKはシュミット・ダニエル、最終ラインは右から菅原、板倉、瀬古、伊藤、中盤は遠藤、守田、2列目は堂安、鎌田、三笘、1トップに浅野とGKを含む最終ラインはフレッシュな顔ぶれ、中盤から前はヨーロッパで活躍するメンバーがずらりと並んだ。ウルグアイは4-3-3、GKはロチェ、最終ラインは右からゴンサレス、ブエノ、コアテス、オリベラ、中盤の3人はベシーノ、バルベルデ、ウガルテ、前線はペリストリ、ゴメス、ロッシでスタートした。

キックオフからハイプレスをかけた日本。三笘のドリブル突破からビッグチャンスにつながったが、その後、日本はボールをポゼッションするもののウルグアイにプレッシャーをかけられてビルドアップができず苦しんだ。左サイドの三笘、右サイドの堂安にボールが入るものの前を向けずボールを戻すシーンが目立ち、試合が止まったときに、三笘と伊東、堂安と菅原が話し合っていて意思疎通を図っていたが、連係不足は明らかだった。

65分、伊東が右サイドから仕掛け上田とのワンツーで抜け出しPKを獲得したシーン(VARでノーファール判定となってPKは取り消しとなった)、75分、菅原から右サイドの伊東へ出しての突破からクロス、ニアで上田がスペースを空けてファーに飛び込んだ西村がゴールしたシーンでは完璧なライン形成ができていた。伊東のプレーに上田、西村が反応して動いたように、三笘、堂安のプレーを選手間でフォローできればもっとチャンスを作れたはずだ。これは4年かけてチームを作っていく課題だろう。

失点のシーンは、セカンドボールへの予測と反応の差が出た。右サイドからのクロスがこぼれたところに走り込んだバルベルデはそのままボレーでシュート。ポストに嫌われてこぼれたボールにバルベルデが飛び込んで頭で押し込んだ。シュートを撃たれた瞬間に日本は足が止まっていたのは反省点で、トランジションの反応は世界トップと大きな差がある。この部分も4年かけて差を埋めていくところだ。

21分、右サイドの菅原のアーリークロス、54分、三笘のドリブルからエリア内への縦パスのどちらも浅野は決めきれなかった。ドイツ戦でGKノイアーを破って決めた逆転ゴールは、データとしてウルグアイは共有していたはずだ。簡単にはシュートは撃たせてもらえない。日本はアウトサイダーではなく、ワールドカップで勝ち上がっていくと必ず当たるライバルなのだ。浅野だけじゃなく、日本代表すべての選手も同じ意識で戦えるか。

ウルグアイ戦でできなかったことをコロンビア戦でできるようになること。北米で新しい景色が観られるかどうかはこの一点にかかっている。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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