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【ベガルタ仙台】アウェイでの第3節はDOGSOによる数的不利もドローで勝ち点1!

2023年3月8日 |

明治安田生命J2リーグ 第3節
徳島 1-1 仙台 @ 鳴門・大塚スポーツパーク ポカリスエットスタジアム
2023年3月4日 13:10 Kickoff
徳島:坪井 90(西谷)
仙台:菅田 52(中島)

J2第3節、仙台はアウェイで徳島戦。ロングボールを前線に当ててから始まっていた仙台の攻撃にラインの連動性が加わり、面白いようにパスが繋がるようになった。ポゼッションは徳島に譲ったが、プレスが的確で徳島のミスを誘い、何度もショートカウンターでチャンスを作った。ホ・ヨンジュンが徳島のアンカー白井を付かず離れずのポジションをとってマークしていたため、徳島は最終ラインからのビルドアップで白井が使えず、サイドへ出したところを囲んで奪った。

徳島はすぐに修正して、仙台に対抗する。インサイドハーフの3人をポジションチェンジし、両ワイドはウイングとフルバックの入れ替わりで仙台のマークを混乱させた。渡が中盤に下がってきてのポストプレーで、柿谷、白井、杉本が前を向いてプレーする。ここから、両ワイドに出してドリブルで仕掛けて何度も決定機を作るが、仙台はGK林のビッグセーブもあって徳島の攻撃をしのぎきってハーフタイムを迎えた。

後半、仙台は前線からハイプレスをかける。50分、カカのパスを相良がカット。左サイドの氣田につないでのミドル。GKスアレスが弾いたこぼれをエヴェルトンが詰めるが、これもGKスアレスがビッグセーブ。ここで得たCKを中島が高いボールでファーを狙い、フリーの菅田がヘッドでたたき込んで先制した。カカ、安部のセンターバックコンビへプレッシャーをかけ、インサイドハーフの3人へのパスコースを潰すことで徳島のミスを誘発し、ビッグチャンスにつなげた。相良、氣田のカウンターだけではなく、ホ・ヨンジュン、エヴェルトンも前線に走り込んでいて躍動感にあふれていた。

徳島は杉本に代えて児玉、外山に代えて坪井を投入。ウイングの西谷をフルバックに下げる攻撃的な布陣でゴールを狙ってきた。守備はカカと安部の2バックで、右サイドの浜下、左サイドの西谷は高い位置を取った。仙台は真瀬が上がっている西谷の裏へロングパスを蹴り、ホ・ヨンジュンのクロスに氣田が飛び込んだが、GKスアレスがビッグセーブと超攻撃的な布陣を支えた。

70分、このゲームのビッグポイントがやってくる。左サイドでボールを奪った西谷のパスに抜け出した渡をキム・テヒョンが後ろから掴んで倒してしまい一発レッド。西谷から渡へのパスがゴールへ向かっていたこと、仙台ゴールに近い位置だったこと、渡は西谷のスルーパスをコントロールできる状態にあったこと、ファールがなければ渡はGK林と1対1になっていたことから、DOGSO(Denying an Obvious Goal Scoring Opportunityの略語でドグソと発音。日本語で決定的な得点機会の阻止の意味。原則として一発レッド)の条件を満たすファールとされた。

このゲーム、キックオフ直後20秒で渡がポストプレーから抜け出し、入れ替わられた菅田がつかんで倒したファールでイエローをもらっている。また開幕戦の町田とのゲームでも、菅田がエリキに入れ替わられてピンチを作っていて、最終ラインを破られたときに後手に回るシーンが目立つ。抜け出されてファールで止めるプレーはレッドに繋がるだけに修正が必要だろう。かなり難しいがJ1昇格、そして、J1で上位争いするためには乗り越えなければならない課題と言える。

数的有利となった徳島は、仙台を押し込みサイドからの仕掛けで何度もチャンスを作った。仙台は郷家に代えて蜂須賀を投入し、両ウイングバックのふたりを下げて守りに入ったが、90分に失点する。右サイドの杉森のクロスが左サイドの西谷まで抜けると詰めてきた遠藤、真瀬を引きつけて左サイドポケットでフリーの坪井にパス。仙台は小出と中山がシュートブロックに飛び込んだが間に合わず。GK林もノーチャンスだった。

徳島はさらに攻め立てたが、仙台はスペースを埋めてチャンスを作らせず。退場者を出しながらアウェイで勝ち点1を持ち帰った。次節はホームのいわき戦。普段のトレーニングで筋トレを取り入れ、フィジカルで負けない、最後まで走るサッカーを目指しているいわきに対し、3バックの一角キム・テヒョンをサスペンションで欠く仙台がどう戦うか。攻撃に連動性が出てきて、あとはゴールにどうつなげるか。強い仙台が戻ってきつつあり、第4節での勝利を期待したい。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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