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アルゼンチン優勝!

2022年12月21日 |

FIFA ワールドカップ カタール大会 2022 3位決定戦
クロアチア2-1 モロッコ @ ハリファ
2022/12/17 18:00キックオフ(日本時間12/18 0:00)
ABEMA、フジテレビ系列
クロアチア:グバルディオル 7(ペリシッチ),オルシッチ 42(リバヤ)
モロッコ:ダリ 9

クロアチアは2大会連続のベスト4、モロッコはアフリカ勢初のベスト4。ともに準決勝で完敗、モチベーションを立て直しての3位決定戦。クロアチア、モロッコともにインテンシティが高く、スキルフルなプレーを見せる好ゲームとなった。

7分にセットプレーからクロアチアが先制すると、9分にセットプレーからモロッコが同点。ゴールを奪うためにセットプレーも工夫して、弱いところを狙ってくるデザインの細かさも徹底されていた。多くの選手がプレミアリーグ、ラ・リーガ、セリエA、ブンデスリーガでプレーしている東欧のクロアチアと、元日本代表監督ハリルホジッチ氏が鍛え上げた、5大リーグで何人もプレーしている北アフリカのモロッコ。ヨーロッパテイストあふれた両国は戦略も戦術も練られた素晴らしいチームだった。クロアチアは42分に押し込んでボールを失わず右サイドから左サイドに展開、オルシッチが決勝点を奪い、後半もモロッコの猛攻をしのぎ切って3位を確保した。

クロアチアはマイェル、シュタロ、スタニシッチといった若手を抜擢、モロッコも18歳のエル・ハヌスを先発させる次世代も見据えた采配で、次回北米大会へ真剣勝負を経験させることができた。なんともうらやましい限りだ。

FIFA ワールドカップ カタール大会 2022 決勝
アルゼンチン3-3(4-2 Pens) フランス @ ルサイル スタジアム
2022/12/18 18:00キックオフ(日本時間12/19 0:00)
ABEMA、NHK
アルゼンチン:メッシ 23(P),108,ディマリア 36(アリステル)
フランス:エムバペ 80(P),81(テュラム),118(P)

ドイツ、南アフリカ、ブラジル、ロシア、そしてカタール。5回目の挑戦でリオネル・メッシは頂点にたどり着いた。初戦でサウジアラビアに逆転負け、準々決勝ではオランダに2点差を追いつかれ、決勝でもフランスに2点差を追いつかれた。全試合フル出場で7ゴール3アシスト、獅子奮迅の活躍をしても困難の連続だった。

フランスとの決勝戦。動きが重いフランスを押し込んだアルゼンチンは何度も決定機を作った。23分にPKをメッシが沈めて先制、36分にカウンターからディマリアが決めて追加点、フランスにシュートも撃たせない圧倒的な展開で前半を終えた。後半に入ってもアルゼンチンペースは続き、49分にデパウル、59分にアルバレス、60分にメッシ、72分にフェルナンデスと決定的なシュートを放つ。グリーズマンを封じ込め、エムバペを孤立させ、ボールホルダーへの激しいプレスでフランスにビルドアップをまったくさせなかった。

フランスはデンベレが誤算だった。好調時には手がつけられないがムラがあり、決勝戦の出来はひどかった。ボールロストを繰り返し攻撃のスイッチを入れられず、ディマリアへのファールでPKも献上した。コンディションがよくないフランスは、前半耐えて後半勝負のゲームプランを練っていたはずだが、2失点でプランが狂った。完全に主導権を握られ、ミスが多く、ゲームを作るグリーズマンは何もさせてもらえない。エムバペへのシンプルなパスは読まれてカットされた。

時間が経過すると焦りが出てくるものだが、フランスは65分過ぎに攻撃のテンポを上げる。ラスト30分を勝負のときと決めていたかのように、前線に動きが生まれ、パスの精度が上がった。ボックス内でムアニが倒されて得たPKをエムバペが沈めると、1分後にテュラムの浮き球をエムバペがボレーで決めて同点。その後も攻撃の手を緩めず勝ち越しゴールを狙った。2点差をひっくり返しての逆転もありえる猛攻だったがわずかに届かなかった。延長後半にラウタロ・マルティネスのシュートのこぼれをメッシが押し込んでアルゼンチンが勝ち越すと、エムバペのシュートをブロックに入ったモンティエルがハンドでPKを献上、エムバペが決めてフランスが追いついた。ムアニがGKエミリアーノ・マルティネスとの1対1を制していれば大逆転勝利という大熱戦だった。

おそらくフランスは65分くらいまでゲームに参加していなかった。死んだふりをしていたと言ってもいい。失点をしない、あるいは最少失点なら逆転できると踏んでいたのだろう。実際、2点差もひっくり返すところだった。アルゼンチンはフランスを圧倒して2ゴールを奪い、さらに攻めた。65分はアルゼンチンが攻め疲れた時間帯だったかもしれない。

アルゼンチンは全員がハードワークして、勝利を目指した。フランスの猛攻も耐えて勝ち越しを許さなかった。メッシは最後までプレーをして、やっとヨーロッパ勢5連覇を阻止して、アルゼンチンに歓喜をもたらした。

アルゼンチン、ワールドカップ優勝、3度目の戴冠おめでとうございます。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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