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移籍マーケットの動向2023

2022年11月2日 |

移籍マーケットの動向は、クラブが来シーズンへ向けて発信するメッセージだ。攻撃重視か守備重視か、タイトルを狙いに行くのかじっくり強化なのか、継続なのか改革なのか。財務状況と相談しながら、監督のリクエストに応え、サポーターが期待を持てるチームの屋台骨を構築する。理想のチームを作る強化担当の腕の見せどころだ。

ほとんどのクラブでユースチームはトップチームと同じスタイルでプレーするため、ユースからの昇格が多ければ継続路線と言える。DFの昇格なら守備陣のてこ入れ。FWが昇格なら攻撃陣に厚みをもたせることができる。昇格した選手はチームのコンセプトを理解しているので、いきなり試合に出しても監督が意図した通りのプレーができる。

それに対して外部から選手を獲得するのは、どうしてもほしい武器を手に入れるためだ。高さだったり、予測力だったり、ドリブル突破だったり、決定力だったり。外部から選手を入れることで違うアイディアも生まれてくる。そのため外部からの選手の獲得ばかりだったら、継続よりも改革を選んだ可能性が高い。

移籍マーケットでは、チームの中心選手が引き抜かれることもよくある。中心選手を売ることで手に入れた高額の移籍金で、同等の選手を獲得することも、育成部門を充実させることも、有望な若手を数名獲得して、チームを作り替えることもできる。他クラブへ移籍した中心選手とは違うポジションの選手が入ってくるなら新シーズンは新しいスタイルが観られるはずだ。開幕のわくわく感がそのまま続くか、まったく機能しないまま失望になるかは、始まってみないとわからない。

毎年の移籍ウインドーの動きを追っていくと、クラブが目指す方向が見えてくる。応援するクラブの勝ち負けも、移籍によるチーム作りにかかっていると言えるよね。移籍情報を知れば、応援するチームの来期の動向が見えてくるので参考にしてね!

※次のページへ続く。リストは10月末時点での情報です。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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