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キリンチャレンジカップ2022 SAMURAI BLUE対エクアドル代表を考察

2022年10月19日 |

キリンチャレンジカップ2022 日本(24位) 0-0 エクアドル(44位)
@ デュッセルドルフ・アレーナ(ドイツ・デュッセルドルフ)
20:55キックオフ(日本時間)9月27日

エクアドル戦はスタメン11人全員を入れ替えて臨みました。日本はアメリカ戦と同じようにプレスをかけますが、南米予選で激しいプレスをかけられることに慣れているエクアドルにうまくかわされてボールを取り切れません。この11人での試合は初めてということもあったのかプレスの連携も甘く、エクアドルに何度もチャンスを作られます。43分、左サイドからイバーラがカットインしてのシュートが右のポストを叩くなど、日本がやりたいサッカーで圧倒されました。

右サイドに堂安、左サイドに三笘をおいて、両サイドからドリブルで仕掛けての崩しを狙っていたのですが、孤立することが多く、40分に南野がプレスをかけて古橋がフリーでシュートを撃ったシーンが唯一の決定機でした。本大会では少ないチャンスを決めきることが重要で、古橋のシュートは今後の課題でしょう。

ハーフタイムに古橋に代えて上田が入ったことで、前線に預ける選択肢ができ、日本は息を吹き返します。57分には左サイドから三笘が仕掛けてのクロスをニアで南野が合わせる決定機を作り、70分には三笘に代わって入った相馬が左サイドを突破してのクロスで決定機を作ります。三笘のドリブルと相馬のドリブルはリズムが違うため、エクアドルの右サイドは対応に苦労していました。違うタイプのドリブラーがいることはそれだけで大きなアドバンテージです。南野に代わって投入された鎌田もすばらしいポジショニングで日本の攻撃を活性化しました。

守備の局面では、エクアドルがポゼッションしてボールを取り切れない苦しい展開でも粘り強くボールホルダーに張り付いて十分な態勢でプレーさせなかったこと、最後まで集中を切らさず声を掛け合っていました。エクアドルは何度もボックス内へパスを供給し、素晴らしい予測でセカンドボールを拾い、決定的なシュートを何度も放ちましたが、日本が諦めずにブロックに入ったことでゴールを許しませんでした。

PK判定のシーンでは、エストラーダのポストプレーに対し、谷口が不用意に飛び込んだとしかいえません。どうしても1点がほしい場面ではPKを奪うためファールをもらうプレーも彼らはやってきます。谷口はクリアできると判断したのでしょうが不用意なプレーでした。

PKはバレンシアがキッカー、日本はGKシュミットです。シュミットはゴールライン上を左右に動いてバレンシアが左に蹴ったシュートをドンピシャリで止めます。モダンサッカーではPKといえどもデータでどの方向、どの高さに蹴るかを分析しているチームが多く、バレンシアのシュートを予測していたかもしれません。シュミットはイバーラのシュートを見送ってしまうなど判断が甘いプレーもありましたが、最後までゴールを許さず信頼できるGKであると証明しました。

日本は前半と後半では違うチームで、ハーフタイムに見事に立て直しました。エクアドル戦の最大の収穫はハーフタイムの指示が的確だったことではないでしょうか。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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