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キリンチャレンジカップ2022 SAMURAI BLUE対アメリカ代表を考察

2022年10月12日 |

キリンチャレンジカップ2022 日本(24位) 2-0アメリカ(14位)
@ デュッセルドルフ・アレーナ(ドイツ・デュッセルドルフ)
21:25キックオフ(日本時間)9月23日
日本:鎌田(守田)25,三苫 88

連動したハイプレス、ボールホルダーをすばやく囲んで相手のビルドアップを阻害、パスコースを読んでのボール奪取、ショートカウンターから決定機につなげるコンビネーション。アメリカ戦で日本は狙い通りのサッカーをして快勝しました。

アメリカは動きが鈍く、日本がプレスをかけるとミスを連発するなど本調子ではなかったけれども、日本が押し込むシーンが何度もあって収穫が多い試合でした。

得点シーンはふたつ。25分、マッケニーのバックパスを伊東がカットしてドリブルで持ち上がり、スイッチした守田が逆サイドへ出して鎌田がファーへ巻くように決めての先制点と、88分、三笘が左サイドから仕掛けてボックス内からシュートでそのまま決めきった追加点。

どちらのゴールもワイドからドリブルで中へ仕掛けて生まれたチャンスで、日本は同じパターンで何度も決定機を作っています。選手間の距離がコンパクトで味方がよく見えていたのでしょう、ボール奪取からのポジティブトランジションへの移行が早く、パスも正確でした。前田が前線を引っ張ることでスペースができ、鎌田、久保がそのスペースをうまく使っていて、日本は何度も決定機を作っています。また右サイドの攻撃では、伊東が外側を使うときは酒井が内側へ入り、伊東が内側へ入ったときは酒井が外側を使う連携がうまくできていて、完成形に近い状態でした。3点差、4点差がついてもおかしくないほど、日本がアメリカを圧倒していました。決められるときに決めきれなかった点は課題として残りますが、数多くのチャンスを作ったことは本大会につながります。ドイツ戦、スペイン戦でもゴールをこじ開ける武器となるはずです。

守備の局面では、遠藤と守田が強くプレスをかけることでアメリカのミスを誘発して、ピンチの芽を摘み取りました。実際、アメリカの決定機は8分にデストが右サイドを突破してのクロスをフェレイラがヘッドで合わせたシーン、81分、吉田にプレスをかけてボールを奪いアーロンソンが仕掛けたシーンのふたつくらいでした。ハイプレスとリトリートをうまく使い分けていて、アメリカにほぼ何もさせなかった。ボールを奪ったときに右サイドの伊東、左サイドの三笘と強力なドリブラーがいることで、アメリカに守備の意識を持たせたことも安定したゲームとなった要因でしょう。日本のいいところが目立ったゲームでした。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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