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サッカー観戦のコツ(後編)

2022年9月28日 |

ベガルタ仙台とジェフユナイテッド千葉の組み立ての違い

後半戦へ向けて、仙台はオフェンスではニアゾーンへの仕掛けを繰り返してチャンスを作ること、ディフェンスでは千葉のワイドからのクロスを簡単に上げさせないことが鍵。一方の千葉は、オフェンスではボックス内に飛び込むレオンソ、ブワニカ啓太に合わせること、ディフェンスでは中山と皆川にプレッシャーをかけて簡単にポストプレーをやらせないことが鍵になりそうです。ハーフタイム15分は、選手のリフレッシュとともにゲームプランを修正する貴重な時間でもあります。

後半キックオフ。仙台は立ち上がりから積極的に仕掛けます。左サイドの高い位置からキム・テヒョンがロングスローを使うなどオフェンスにバリエーションをつけてきました。ディフェンスでは左の末吉、右の西久保にマークをつけて簡単にクロスが上がらないようにケアをしてきました。千葉はワイドからのクロスがマークされていると気づいて、ハーフポジションから仕掛けを見せてきました。

55分、右サイドのコーナーキックから田口がクロス、ファーにこぼれたところをフリーの新井一耀が決めて千葉が先制します。仙台はクロスをかなり警戒していましたが、セットプレーから失点。勝ち点3を獲得するためには同点、逆転ゴールが必要です。

仙台のオフェンスに対して、千葉はカウンターに構えます。右サイドでボールを奪うと右サイドから、左サイドでボールを奪うと左サイドから仕掛けます。仙台も素早く戻って対応しますが、74分に右サイドの西久保からロングスロー、交代で入った櫻川が競って落したボールを見木が蹴り込んで2点目が決まります。
仙台は攻撃の起点となっていた遠藤(→フォギーニョ)、中島(→福森)、キム・テヒョン(→蜂須賀)を交代させてフレッシュな選手でゴールを目指したのですが、決定的な場面を作ることができませんでした。

千葉は最初のゲームプラン通りボールを奪ってワイドに展開してボックス内に放り込むサッカーで勝ちきりました。トランジションサッカーらしくボールを失ったときには仙台の選手を囲い込んでボールを回収し、ボールを奪ったときには選手全員が走り前線にパスコースができていました。

一方の仙台は惜しいシュートやゴールに近い位置でファールをもらってのフリーキックもあってゴールを奪うためのプラン通りに進んでいたのですが、ゴールは生まれませんでした。プレッシングをかけられるとボールを失うシーンが目立ち、ネガティブトランジションでも千葉の動きに遅れるプレーがありました。

千葉の球際の強さはトランジションの部分で千葉の反応が早かったからでしょう。以前は攻守の切り替えを早くと言われていたところですが、ボールを奪われる、あるいはボールを奪うという予測をして次のプレーへ動くことができていた千葉が順当に勝った試合でした。

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Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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