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サッカーが上手くなるトレーニングのコツ 初歩の初歩編

2022年9月15日 |

サッカーはボールを蹴っ飛ばしてゴールを決めるゲームだけど、実はボールを蹴っ飛ばすことが難しい。止まっているボールを蹴るだけでも右に曲がったり、左に跳んだりで狙ったところへ行かない。動いているボールだったらロケットみたいに打ち上げたり、そもそも当たらなかったり。サッカーの基本は「止める」と「蹴る」で、できないとゲームでボールが回ってきてもミスばかりでホントにつまらない。大人たちはできるから「ボールをよく見て」って言うけれど、小学生たちはボールに足を当てることに四苦八苦していたりする。

ボールとの距離感がつかめず反っくり返って蹴っている子どもがいっぱいいて、そういうときは「止まっているボールに向かって歩いて、そのまま蹴っ飛ばして歩き続けて。最初は当たるだけでいいよ」と見本を見せると、小学生は真似して蹴るし、一度できるとあっという間にうまく蹴れるようになる。そこからがもっと上手くなるためのチャレンジだ。

コーチングライセンスの講習で、「風間八宏氏のボールを止める、蹴るの技術指導が参考になる」とDVDを紹介されて、実際にトレーニングで経験した。ボールを正確に止められれば、周りを見る余裕もできるから、プレーの選択肢が広がっていく。もっと上手くなればボールをほとんど見なくても止めたり、蹴ったりできるようになる。

ボールの半分より上の一点を触れば、ボールが下へ行こうという力が働いて確実に止まる。インサイドなら親指の付け根の出っ張ったところ、アウトサイドなら小指の付け根の一点を当てることで安定してトラップができるようになる。

キックも同様で、インサイドはボールの中心をかかとに近い骨の部分で蹴る、アウトサイドなら小指の付け根あたりでボールの中心から左側を蹴る、インステップなら人差し指の付け根あたりでボールの中心を蹴る、インフロントなら親指の付け根の出っ張ったあたりでボールの中心から右側を蹴ることを意識しよう。

最初はゆっくり足の点にボールが当たる感覚を確かめるだけでもかまわない。何度も何度もやればうまくなる。人間の脳は自分で思っているよりもはるかに多くの情報を処理できるから、同じことを意識して繰り返せば正確にできるようになるのだ。

基礎的な技術でも正確にプレーできれば、試合で活躍できる。ミスをしないのでチームメイトからも信頼される。さらに、できないことも見えて、もっと上手くなりたい気持ちが湧いてくるという好循環が生まれるものなので、頑張ってトレーニングしてほしい。

Profile

今里浩紀

1968年愛媛県生まれ。JFA公認C級コーチ。1982年ワールドカップスペイン大会と「キャプテン翼」でサッカーの面白さに目覚める。出版社で編集者として活動、現在はフリー。


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