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【YBCルヴァンカップ】長き激闘を制し福岡が初優勝!
2023年11月8日 |
2023JリーグYBCルヴァンカップ
アビスパ福岡 2-1 浦和レッドダイヤモンズ @国立競技場
2023/11/4 13:5 キックオフ フジテレビ
福岡: 前寛之 5/宮大樹 49
浦和: 明本 考浩 67
J1全18チームとJ2の2チーム(前年度J1の17位、18位)の計20チームが激闘を繰り広げてきた国内3大タイトルの一つ、2023YBCルヴァンカップがついに国立競技場で決勝を迎えた。グループステージ、プライムステージともにホーム&アウェイの2回戦で繰り広げてきた激闘。1戦勝負のファイナルに勝ち残ったのは2003年と2016年の2回の優勝経験を持つ浦和レッズと、ルヴァンカップ初のファイナル進出となるアビスパ福岡。
浦和は10月15日に行われた準決勝第2節のスタメンから、DF関根貴大をDF酒井宏樹へ、MF安居海渡をプライムステージ初スタメンのMF伊藤敦樹へと代えたメンバーで4−2−3−1のフォーメーション。福岡はDF三國ケネディエブスをDFドウグラス グローリへ、MFだった紺野和也をFWにして、FWウェリントンに代えてMF井手口陽介を入れ、ボランチが本職のMF前寛之を左シャドーの位置に起用した3−4−2−1のフォーメーションで挑んだ。

両軍サポーターの声援で揺れる国立競技場。試合は早々にMF前寛之をシャドー起用した福岡・長谷部監督の考えが的中する。試合開始から積極的に攻める福岡はペナルティエリア手前からのFK、直後にCKとセットプレーを続けた後、浦和GK村上のロングキックを福岡DF奈良が競り勝ちFW山岸からFW紺野へ繋げると、紺野がペナルティエリア右奥へドリブル突破。そこから右足で低いクロスを入れると、ファーサイドに走り込んだMF前がダイレクトに押し込みゴール。福岡が先制点を上げた。
先制点で勢いに乗る福岡はその後もプレスを強めて浦和サイドを攻め、13分にはU21のMF森山がペナルティエリア手前から低く鋭いシュートを撃つが、これは浦和GK西川がキャッチ。すると15分辺りから浦和のボール保持率が高くなり、19分には右CKを獲得するがDF荻原が蹴ったボールはうまく合わずに逆サイドへ。
その後も浦和が主導の時間が続くが、最終ラインを厚くする福岡の堅い守備に阻まれシュートチャンスが作れない。そして31分、ペナルティエリア手前で浮き球をMF伊藤がチームとして初のシュートを撃つが、威力がなく難なく福岡GK永石がキャッチ。さらに35分にはスローインから受けたボールをMF岩尾がミドルシュートするが枠の外へ。続いて36分にもペナルティエリア内で浦和の波状攻撃。最後はFWホセ カンテがシュートを撃つもオフサイドに。
前半38分の時点でボール保持率は浦和70%、福岡30%。浦和が主導の展開だが、41分には福岡が左CKからMF井手口がクロスにボールを上げ、DF宮がヘディングシュートを撃つもGK西川がファインセーブ。さらに42分にも左CKでFW紺野がボールを上げ再びDF宮が頭で合わせるも、このヘディングは威力がなくGK西川が難なくセーブ。
前半45分が経過しアディッショナルタイムは3分。ここでもボール支配率は浦和が高いが、決定機を作ったのは福岡。カウンターで攻めて左CKを獲得。FW紺野が上げたクロスを浦和がクリアすると、このボールがペナルティエリア左にいたFW紺野に渡り、今野がドリブルから左足で鋭いグラウンダークロス。これをニアにいたDF宮が冷静にゴールへ流し込んで2点目を獲得、初優勝へ向けて大きな得点を決めて前半終了となった。
後半戦、浦和はMF高橋利樹に代えてMF大久保智明を、MF早川隼平に代えてMF安居海渡を投入。福岡はMF森山公弥に代えてMF金森健志を投入し、金森をシャドーに入れ、MF前を本職のボランチに戻した。
追いつきたい浦和はプレスをかけて後半5分にペナルティエリア左でFKを得るが、これは福岡がクリア。すると後半9分、福岡にビッグチャンスが訪れる。自陣でボールを奪ったDFドウグラス グローリが単独突破で浦和エリアを独走、ペナルティエリアに入ったところで浦和DFマリウス ホイブラーテンと接触して転倒、PKを得る。PKのキッカーを務めるのはFW山岸。ゴール左に鋭いシュートを撃つと、浦和GK西川が見事に読んで右に飛びビッグセーブ。
GK西川のビッグプレーで勢いに乗る浦和。今度は逆に福岡のペナルティエリア内でボールを受けようとした浦和MF伊藤が倒されるが、VARの結果PKはなし。ここで浦和はMF伊藤敦樹に代えてFWブライアン リンセンを、MF小泉佳穂に代えてMF明本考浩を投入。攻撃に厚みを加えると、後半22分に中央でフリーになったDF酒井からのロングパスを、投入されたばかりのMF明本がペナルティエリア内で受け、胸トラップから左足でシュート。1点差に詰め寄る。

勢いに乗る浦和に対し、福岡は後半27分に足をつったFW紺野に代えてMF中村駿を投入。さらに後半31分にはDF湯澤聖人に代えてDF小田逸稀を投入し、浦和の反撃に備える。
サポーターの声援も熱が入る浦和は苦しい時間帯ながらも福岡エリアを攻め、後半34分にはFWホセ カンテがペナルティエリア手前から強烈なミドルシュート。だがこれは福岡GK永石がパンチングでファインセーブ。すると後半35分には浦和が交代枠を使い切り、MF岩尾憲に代えてMFエカニットパンヤを投入。さらに攻撃の活性化を図る。そして後半39分にはペナルティエリア右でFKを得るが福岡DFがセーブ。さらに後半43分には福岡ペナルティエリア内で激しい攻防の末にFWホセ カンテが倒れるが笛は鳴らない。すると後半44分、福岡はDF宮大樹に代えてDF田代雅也を、FW山岸祐也に代えてFWウェリントンを投入し逃げ切り体制に入る。
後半45分が経過し、アディショナルタイムは8分。すると後半49分、MF大久保が倒され浦和はペナルティエリア右でFKとチャンスを得るが、味方と息が合わない。さらに後半51分、クロスで上がったボールを福岡DFがクリアするも、それを拾ったFWホセ カンテがペナルティエリア手前でシュート。福岡GK永石の右を抜けるもゴールポストに弾かれてゴールならず。そして試合終了。
1996年にJリーグに加盟したアビスパ福岡が、クラブ史上初のファイナル進出に続き、クラブ史上初のルヴァンカップ優勝のタイトルを勝ち取った一戦だった。MVPに選ばれたのは、この試合の初ゴールを決めたMF前寛之。

Profile
小池昌敏
1967年神奈川県生まれ。編集兼ライター歴30年以上のフリーで活躍するベテラン記者。スポーツはサッカーから野球、釣りまで何でも大好きだが、基本的に身体を使うのは苦手で観戦が専門。